*男キャラ×男主
「パパンー!お使いから帰ってきたですよー!」
まだ声変わりもしていない高い声が家中に響いた。ドタドタと部屋を駆け巡る。オレは大きく伸びをすると、重い腰を上げた。
「よっこらせ、っと。はいはいごくろーさん」
「パパンはもうおじいちゃんみたいですねー。ほら!」
「ん…よく出来ました」
「…それだけです?」
「なんだ?何か欲しいのか?」
「む…別になんでもないですよー!」
そういい目の前のチビは顔をそむけた。
…横顔は徐々にだがアイツに似てきた気がするな。アイツがこれくらいの時はどんな奴だったんだろう。きっと普通以上にませていたんだろうな。
「…パパン、顔がニヤけてるですよ」
「ん?ああ、わりぃ」
「もーまたママンの事考えてたんです?」
「ああ…まあな」
どうやらオレは思っている以上にアイツの事を考えると顔に出るらしい。全く…こんなのオレのキャラじゃねーっての。
「全くー。ママンとパパンはいつまでもラブラブ過ぎて腹立たしいですよー」
「お前もそういうやつを早く見つけたらいいんじゃないか?」
「な…っ、ティティさんはまだそんな年じゃないですよ!」
そりゃどういう意味だ。全くこいつは…。
…ティティはちゃんと立派に育っているよ。お前には全然似てねーけどな。こっちの方がずっと可愛いさ。
「パパンーお昼はどうするんです?」
「ん?あー天気もいいし外で食べるか?」
「ワン!」
「わっ、ラピードもいたですか!えへへー了解ですよ!これ持ってけばいいんですね!」
「ああ、宜しく」
ティティはオレが持っていた食器類を強引に奪うとそのまま庭に走っていった。ラピードがその後を追う。
なあ、もしお前がいたら今日はどうするんだろうな?家族で庭で昼飯ってのもちょっと平和ボケしすぎてると思うけど良いと思うぜ。ん?ああ、デザートも作らねーとな。甘い物ないとやっていけないもんな、オレもお前も。
「パパンー!早く早くですよー!」
「ワン!」
真っ青な空の下でティティとラピードがオレを呼んでいた。
この風景を守ったのは、紛れもなくお前なんだよな。
「そう急かすなよ。今行くって」
ヴィル、お前は幸せか?
オレはお前が隣にいない事を抜かせば幸せだと思うよ。
青空の下で
「ところでこいつ、ママンが男だって事は分かってんのかね…」
「ユーリ?なんかいったですか?」
「なんでもねーよ」
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