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ラグ主人公





CAST:ラピリア(テレジア),ラグ(グラニデ)

「姉さんさあ」

「あによ」

「………ハヤ君の事、好きでしょ」

「まあ別に…ってはあ!?あ、あんたななな何言ってんのよ馬鹿じゃないのあんたそのイカれ頭が更におかしくなったんじゃないの?ネジでもお、落としたんじゃないの?」

「うわあ酷い言われようだ」

投げられたナイフを僕は華麗に避け…られなかった。



***



「ヴィル君といい姉さんといいなんでこうヴァイオレンスかなあ」

「ラグさんでも苦労してるんですねえ」

「僕でも…ってそりゃそうだよ。レガッタちゃん僕をなんだと思ってるの?」

「うーん、というかあんまそういう愚痴を聞いたことないんで」

「…まあ」

普段はその辺にいるラピリアに全て語るからかも知れない。
負傷したとこをどうにかしようと部屋に戻る途中にレガッタちゃんと出会し、今は包帯を巻いてもらっている。まあすれ違ったのが彼女で良かったか。なんとなく気が楽だ。

「でも喧嘩なんて楽しそうですよー」

「喧嘩?…いやいやあれはどう考えても一方的……姉弟揃ってツンデレが」

姉さんはデレると一緒に刃物が飛んでくるしヴィル君は全くデレないし…。は?僕がただのおちゃらけた楽天野郎に見えるって?いやいや全然!真ん中も大変なんだよ…。

「でもメルちゃんもヴィル君もデレっぱなしなんて考えられないですよー。あ、終わったっと」

「ありがとう。…はぁ、そうは言ってもねぇ」

「というか…正直今のラグさんもどうしたって感じなんですけど」

「え?」

「元気なさそうなんで。何かありました?」

レガッタちゃんはそういうと顔を覗きこんできた。うーん、いつも通りのつもりだけど。

「…はぁ、心配してくれるのはレガッタちゃんだけだよ、ありがとう。でも大丈夫だから」

「そうですか?なら良いけど…何か相談したい事があったら私でよければのりますんで!」

「うん、その時は宜しくするよ。包帯助かったよ」

「いえいえっ!私回復術使えないんでこれくらいですけど。ではー」


***

いや、もしかしたら気にしてるのかもしれない。メルトさんが恋人とか世界樹に捨てられたとかレガッタちゃんが娘とか、全て先代の記憶だけれど、あの馬鹿ミュラが消さなかったせいで僕の記憶にもなっている。別に世界樹は嫌いでもないし、レガッタちゃんは娘の様に見えるだけ。で、メルトさんは恋人じゃなくて、メルはただの姉だけど、少し寂しかったりした…ほんの少し。

「記憶に囚われてるのは、僕だけなんだろうね」

姉さんが誰と幸せになろうと勝手だけど、どうしてもメルトさんと重なる。好きでもないのに、ミュラの記憶に邪魔されてしまう。素直に、喜べない。

「それは仕方ない事だろう」

「は?…ああ、シスコンハット」

「ラピリア、だ。お前はミュラが残した記憶なんて要らないと思ったのか?」

「…どうだろうね。要らないかも。でも記憶がない僕なんて考えられないよ」

「そうだな…。記憶がなくても、あっても苦しむ。それもディセンダーの宿命なのかも知れないな」

「…ああ。そうなると人間ってムカつくよなあ」

「お前、」

「冗談!に決まってるでしょ?ちょっと生意気言ってみたかっただけだよ。あーあ!姉さんには記憶がないからなあ」

「姉さん?…ああ、なんだお前、メルボルンに好きな人でも出来てヤキモチでも妬いてるのか?」

「はぁ!?この僕がヤキモチ?ハヤ君に?…有り得ない」

「でも事実、今不安定じゃないか」

「そんなつもりないんだけど。レガッタちゃんといいラピリアまで…」

「レガッタにも?じゃあ本当だろう。そうか、でも二人の恋路は邪魔するなよ」

「はじめから邪魔するつもりなんてないけど。別にハヤ君良い子だし」

「そうだな、そうかそうか」

「ちょっとラピリア!勘違いしないでよ!僕はべっつに…って行くなって!」

僕が止めるのも無視してラピリアは先に行ってしまった。何…つまりそれは僕がブラコンだけじゃなくてシスコンって言いたいわけ?…最悪だ、そんな事あれがアルティアラちゃんに言ったら皆に伝わると思った方が良い。
あー別に!姉さんの相手が気になるとか前世の記憶のせいなんだから!僕は別に、気にしてなんかないんだから!

とりあえず噂を止める為にも前を行くラピリアに魔神剣でもぶっぱなしておいた。

.......................

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