学園パロ |
CAST:ルクス,ヴィル 「調子乗ってるのはどちらですか、俺相手に一人で勝てるとか思って」 その一言でキレた。 単細胞が、偉そうにするだけ無駄なんだ、って。 「んだとてめ…」 ふふ、そうです、全員でかかってくれば良いんですよ。変にかっこつけてる様ですが、どうせ皆、俺に倒される運命なんですから。 「後で後悔するんだな!」 「…どちらが」 思わず口元が、緩んだ。 「えーでは、次に…」 春の風は僕に睡魔という恐ろしい物を連れてきた。ああ、駄目だ僕、寝るな! 小学校からのエスカレーター式のこの学校に僕、ルクスは今日入学した。 中学生の大半は小学校から上がってきた奴と聞いたが…まぁ確かにそうかも…。 入学式の前に一度クラス事に集まったのだが、和気藹々と話す人、僕のような少し浮いてる人。…圧倒的に前者が多かった。 近くの中学に入学しても良かったのだが、小学校であまり良い思い出がなく…。 そう、僕は忌々しい過去とおさらばし、自分を変える為に態々遠いこの中学に通い始めたのだ。僕はもう平和に生きてやる。パシりになんかされない。 …はずだった。 「おい、そこの新入生…お前だよ、お前」 「え…僕ですか…?」 「…ふん、お前なら良いんじゃね?おい、金持ってるよな?」 「は…はい…?」 いやいやいやいやちょっと待て。この状況が今の僕に理解…したくないけどできるよこのやろー。 見るからに悪い奴が数人、僕を囲んでいる。…5人?え? そういえば他の生徒は…っ思って周りを見渡すが何故か人っ子一人いやしない。 …よーするに今の僕はチンピラという奴に囲まれてかなりヤバい状況だ。これはマズイ。 僕のウキウキ中学ライフが音をたてて崩れていく。僕は平和に過ごしたいだけなのになんで…っ 「…ふーん、先輩の言う事が聞けないの?お前お金持ってそうだし…なぁ?」 「え、あ…いや、その…」 出来るなら今すぐ逃げたい。でも足がすくむ。思い出すのはついこないだまでの自分。くそっ、やっぱり無理なのか、僕は結局―… 「退いてくれます?」 「…あ?」 突然、似合わない声がした。僕の周りのチンピラも驚いたらしく後ろを向いた。 …え? 「…はっ、一人の後輩に五人の先輩。あーあ、情けないとは思わないんです?」 そう言うと僕の目の先にいる…少女は肩をすくめた。小柄で僕よりも背は低く、少しくせのついた髪の毛を上の方で一つに結んでいた。…ちょっと待て。空気読んで! 助けにきてくれたのはあ、ありがたいけどこれはいくらなんでも無謀過ぎる。しかも…ああやっぱり睨まれた。素直に穏便にお金を渡していれば良かったのに… ボコられ決定。 「あぁ?てめーその可愛い顔がどうなっても良いんですかー?」 「…戯れ言を」 「んだとテメ…」 「うわああちょっともういいです渡せば良いんですよね渡せば!」 「面かせや、思いっきり可愛がってやるからさぁ!」 僕の言葉は完璧無視。前にいるチンピラさんはそう言い少女に触れた。 瞬間。 「うぎゃっ!?」 異様な悲鳴を上げチンピラ(リーダーぽい)が倒れた。…今、何が起こった? 訳が解らず少女を見ると、彼女はまるで汚い物にでも触ったかのように手を払っていた。 まさか…とは思うが今のはこの子が…? 「っ、テメぇ!番長になんて事してやがる!」 「あれ、貴方が番長ですか?さっきもそんな方に出会ったんですが…」 「ふっざけんな!」 うわああ今度は二人が殴りかかった。ごめんなさい!僕は所詮ヘタレで助けてくれた少女も守れないんだ、って! 「頭使えよ、屑が」 僕が目を瞑った刹那、また異様な悲鳴と、少し後に何かが地面に落ちる音。ま…まさか…。 「ふう…一丁上がりっと」 「え、き…君が…今…?」 「俺以外に誰がいますか。ああ、自分がとか思ってました?」 「や…そんな訳ないけど…」 僕よりも一回りも二回りも小さい女の子が僕よりも更に大きい不良をあっさり倒しちゃうなんて…なんてことだ。こんな強い子がこの学校にはいるのか…。それとも皆のレベルが強いのか?うう…先行きが不安すぎる。 「…ハッ、他にも俺みたいに強いのがいるのかって?いるわけないでしょう」 「え?あ…いや…」 僕今なんか言ったっけ?いや、特に言ってない。というか敬語のくせにこの子…口悪いなあ…自分の事俺って言ってるし…。 「…なんですその目は。口が悪いって?」 「ああうん。…ってうわああそうじゃなくてっ」 思わず頷いてしまった。僕があたふたしていると目の前の少女は小さく笑った。 あ…可愛いかも。 「でっ…でも凄いね、僕なんか腰抜けそうだったのに。ずっと小さくて、女の子なのに」 僕がそういうと、…あれ?少女は明らかに嫌そうな顔をした。あ、小さいは余計だったのかな…。 「小さい…少女…?」 「あ、小さいは余計だった?ごっ、ごめん!でも女の子がそんな、うわっ」 え、ちょっと壁がえ…凹んで…? 今何があったのかというと…前の女の子が、僕のすぐ横の壁を思い切り殴って、 それで凹んで…わっ! 「俺は男だ!」 「……え、ええ…ええええ!?」 僕の春は、あっさり過ぎ去った。 ....................... ←back |