先代02 |
CAST:ミュラ,メルト,レガッタ,ラグ,ルクス,レウ(グラニデ) 状況が分からなかった。 此所は何処?今何年?私は誰? いやいやいや冗談抜きで訳分かんねーよ。本気で何。あ、いや自分は誰か分かる。間違ってなければ俺は― 「目が…覚めました…?」 覗き込む橙の瞳。心配そうな表情、若干瞳が揺れてる。萌え。あぁ、今日も可愛いよメルトダウン。俺は君を……ん?メルトダウン? 「っ、メルト!?」 俺は突然起き上がった。なんだこれちょっと待て俺。なんでメルトがいるんだ。 それよりもなんで俺がいる。俺もメルトも、確かに死んだはずじゃ。 「目が覚めました?ラングミュラ」 聞き覚えのある声に俺は顔を上げた。いつからいた?気配が無かった。 覚えがある…だってその声は、俺そっくりだから。声の主は俺よりもう少し薄い黄緑の髪に大きなアホ毛。片目は髪で隠れていたが、今俺を見る目だって、俺の目と同じ橙で。 「あんた…誰だよ?」 剣が無いので少々心細いが、メルトを守らなくては。俺に似た彼は溜め息をつくと大袈裟に手を広げると、言った。 「あんたの後代、ラグランジュ。ラグで良いよ。別にあんたの敵じゃないし。…というか甦らせたの僕だし」 「後代?…そんな者、初めて聞いたけど」 「当たり前でしょ?あんたが死んだ後に生まれてるんだから」 「そうか。…ん、死んだ?死んだ…誰が?」 「あんたに決まってるでしょ?それに隣りのお嬢さんも」 ラグ、と名乗った少年はそう言いながらメルトと俺を眺めた。なんだ、別に死んでなかったとかいう訳じゃないんだな。じゃあ此所は何処だ?天国?地獄?それとも世界樹?正解は……CMの後! 「何馬鹿な事考えてるんだ、お前は」 「なっなんで俺の考えてる事が……おま…まさか…シスコンハット?」 なんだなんだ本当に此所は何処だ。俺の嫁メルトがいて、俺の後代とかいうのがいて、シスコンハット…つまり大昔のディセンダーラピリアもいて。まさかの世界合体?何それ混沌。 「その呼び名はやめろと言ってるだろ!ったくお前は本当変わらないな」 「変わんないって…え、意味わかんない。メルトはなんでそんな冷静なの?おかしいの?俺がおかしいだけ!?」 「違うよ、ただ私はもう説明して貰ったからだよ?ラグ君、ミュラにも説明して上げてくれかな?」 「えっ、あ…はい…」 ん…なんだこの雰囲気は。ラグランジュとか言ったな俺様の後代。まさかお前もメルトに惹かれたのか?あり得…なくもない。俺の因子受け継いでるんだろ?そしたらまぁメルトは可愛いから惹かれるのも無理な…はっ 「ラグランジュ!お前にメルトは渡さねーよ!」 「あぁでは…ってはぁ!?いきなり何!」 動揺しやがって。マジなのか、許さない。いくら後代だからってメルトを渡しはしない! 「ちょ…ちょっとミュラ!?」 これは…またミュラが勘違いしたな、と俺ラピリアは思うのだった。メルトの事になると周りが見えなくなるからな。愛してるのは分かったけど他に迷惑をかけるなっての。 「あんた、俺の後代なんだってな?つーことはあんたがメルトに惹かれるのも無理ないよな?ていうかそうだよなぁ?」 「ばっ…なんで僕が姉さんに」 「今狼狽えたのが証拠だ!…ってえ、姉さん?」 「そうだよ、メルトは僕の姉さんの先代なの!なんでそんな相手に…っていうかさぁ?僕の愛がそんないきなり現れた人間に移ると思う?そもそも僕はヴィル君を愛してるのであって」 今度はラグが暴走し始めた。弟について語らせると一日?そんなの余裕だ。余裕すぎる。 「ヴィル?なんだそれがあんたの好きな奴か」 「そもそも、ってヴィル!?ちょっと馴れ馴れしく呼び捨てしないでくれる?しかも奴とか!お前何様な訳?」 「…先代様」 「ふーん先代様は僕にそんな態度取っても良いのかな?仮にも貴方を甦らしてあげた僕に?それにさ、貴方は良いとしてメルトさんを甦らすきっかけを作ったのも僕なんだよ?」 「うぐっ…それは…」 お、ミュラが負けている。というか演説口調になりはじめたラグに勝てる奴なんて中々いないと思うけどな。因みに俺?…言い合いは苦手な方なんだ。 「ミュラ!とりあえず話を聞いて?ね?」 さっきまであたふたしていたメルトがそう押すと、とりあえず彼女の言う事は絶対な彼は素直に頷いた。そんな彼を見、ラグは小さく溜め息をついたが、その辺の椅子に座ると話始めた。 「えーと、じゃあそもそも今の世界は…」 「レガッターいるー?」 ノック音の後に聞こえたのは、男の子の声だった。聞き覚えがある。だって、レウの声だもの。 「レガッター?ほら、ヴィルも」 開けようと手を伸ばしたが止めた。え、ヴィル君がいるの…?私、さっき…。直まだ会いたくないというか…。 「私はヴィルではないぞ」 「どうしたの?」 その一言で扉を開けた。ヴィル君の容姿でも彼じゃないなら別にいいや。彼女だから。 「うわっ、おまっいつの間に…ヴィルじゃなかったのか?」 「今は私だ。というかヴィルが逃げた」 「はぁ!?」 「え…とあの…レウにルクスに…ヴィーさん?何か用が…」 「ヴィルが悩んでるって言っててそれで…僕たちじゃ頼りないけど少しでも、相談してくれれば…」 「女々しいやつが、邪魔するぞ」 私の返事を待たずヴィーさんはズカズカと入っていった。レウも後についていく。 「えと…」 「別に…さ、言わなくても良いよ。でも一人で踞ってても落ち込むだけじゃない?それに…あいつ、ヴィルが珍しく俺達に頼みにきてさ。えーと…レガッタだってさ、俺達がいたらヴィルとも話しやすいかなって思った…んだけど……ごめん、なんかヴィースビュに変わってた。あいつ逃げやがって…」 珍しく歯切れ良くないルクスだからこそ伝わった。心配してくれてるんだ。ルクスも、レウも…ヴィル君も。ルクスが口ごもる時は本当の事を言う時だ。いざ、面と向かって話そうとすると緊張する、そういつも言っていた。 「…ありがとう、ルクス。私ね、貴方のいう通りさっきまでネガティブ一直線でね、凄く落ち込んでた。でも貴方達が来てくれたから少し元気出てきた気がする。うん!だから、ありがとう」 「あぁ、どういたしまして」 「ルクスも入って?クッキーくらいならあるから」 世界樹に愛されてなくても。ディセンダー達が私の事を心配してくれてる、なんて嬉しい事だろう。少しだけ、軽くなった。 それから翌日になり、依頼をこなして今になる。少しは楽になった気がするけど、忘れられるはずはなかった。そういえば彼等はこっちの世界樹、と言っていた。それはどういう意味なんだろう。ならば今日聞いてみようとさっきから探しているのだが。 「見当たんないー!…何処なの?」 ラグさんもラピリアさんもどちらも見当たらない。メルちゃんに聞くと昨日はニアタモナドに一緒に行ったが、その後の記憶がないという。何故わざわざメルちゃんを連れてニアタモナド?引っ掛かる…。 不意に、視界に入った。見覚えのある淡い桃色の髪。彼女なら、きっと知ってる。 「アルティアラちゃん!」 「っ、え?あ、レガッタちゃん」 名前を呼ばれた彼女はビクン、と体を震わせ、振り向いた。あれ?…珍しく、表情が険しかった。それも気になるけど、まずは要件を。 「あのさ、ラピリアさんの居場所知らない?あ、ラグさんでも良いんだけど」 「兄さんにラグ君?知らない…けど…」 「…どうしたの?アルティアラちゃん、いつもと雰囲気が…」 「え、あ…そんな事ないよー!所でさ、私からも聞きたいんだけど…ヴィル君知らない?」 「ヴィル君?知らないけど…っ、もしかして何かあったの!?」 「えっ、う、ううんそんなじゃないけどただ聞きたい事があって…まぁいいや、ありがとう。兄さんなら…多分だけど外に出てると思う。夕方には帰ってくると思うから」 「うん…分かった、ありがとう…?」 「ええとじゃあごめん!私急いでるからっ」 「あ…うん」 小さく頭を下げると彼女は慌てて私がちょうど来た道へと走っていった。となると、甲板に向かったのだろう。 今のは嘘をついてる様には見えなかった。確かに気になるが、とりあえずは良いかな。しかし…夕方まで帰ってこないのか。じゃあ仕方ない…気になるのは山々だが待った方が得策だろう。私は素直に自室へ帰った。 「つまり?ここは俺達が死んで数百年後のグラニデで彼女に会ってもらいたくてわざわざ甦らされた?で合ってるの?」 「大体はな」 「はぁ…信じられないし」 ミュラは溜め息をつくと腕組みをし、呟いた。ラピリアは若干動揺したがそれぐらい僕、ラグには予想の範疇だ。僕だってそんな事言われたって絶対信じない自信がある。 「そもそもレガッタって誰?俺知らないよ?メルトも、だろ?なんでそんな子に赤の他人の俺達が」 「行けば分かるよ」 「だぁかぁらぁ!さっきからそればっか!今知りたいの!」 あぁ、うるさいな!素直に聞いてれば良いのにさ。先代風情が調子に乗りやがって。あ、先代か。 「よくわかんない…けどさ?私たちを甦らせてくれた人達だよ?折角だし、会ってみない?別に…突然戦え、とか言わないよね」 「言わないね、彼女はそんな子じゃないよ」 「メルトがそう言うなら…」 「僕は無視ですかそうですか」 まぁ会ってくれるならなんだって良いさ。会えば分かると思うし、多分。じゃあ早速会いに行って貰おうと口を開く前に、ミュラが訳の分からない事を言い出した。 「で、レガッタちゃん?はあんたの彼女かなんか?」 「…はい?」 なんでそうなる僕の先代。思考回路はショート寸前、今すぐ会いたいよ☆ いやいやじゃなくてね。 「や、だってなんか凄い庇うし?なんか表情緩いし?」 うわ、マジか。僕ってそんな顔に出やすいんだな。まぁ仕方ないか、レガッタちゃんを思い出すと必ずあいつも出てくるんだから。 「おいおい返答なしかよ?ふーん…あんたの好きな子なら気になるねぇ」 「勝手に判断しないでくれる?僕はさ、ヴィル!」 気配が、した。頭のくせっ毛が確かに反応してる。一応紹介しておこうとあいつを呼んでおいたんだ。 「ったくなんで俺がこんなとこに…なんですラグランジュ!…おや?」 ヴィルは僕達を見ると、怪訝な表情をした。それもそうだ。僕が二人いて、姉さんっぽいのもいて、後ラピリア。 ん、見ると片手に銃を持っている。こいつ、何体か殺ってきたな。寄り道すんなって言ったのに。因みにここはメスカル山脈です。私が決めた今決めた。ぽっぴっぽー。 「ちわっす」 「ええと…はじめまして」 ミュラとメルトが小さく頭を下げた。つられたか、ヴィルも頭を下げた。 「こちらこそ。で、なんで俺が呼ばれたんです?」 首を傾げたヴィル君なにこれかわいい。隣りにきて偉そうに腕組みをした彼を折角なので抱き締めてみた。 「なんですか邪魔なんですけど」 昔程テンパる事も無くなった彼なので、冷めた声で文句を言った。あー可愛い! 「そんな事言わないでよー!ヴィル君可愛いー俺の嫁!」 なんだなんだ。ヴィル?が来て急にラグが変わった。っていうか。 「俺の嫁って、そんなのメルトしかないだろ!?」 「ちょ、っとミュラっ!?」 メルトが顔を真っ赤にして俺の名を叫んだ。君のそんな表情すら、俺には愛しくて仕方がないんだ(笑)あー可愛い! 「いやいやアルティアラしかいないだろう俺の嫁」 「「シスコンは黙ってろよ」」 俺とラグがハモった。 そういえば…何話してたんだっけ?嫁談義?違うだろ。というかヴィルとやらは男だと思うんですが突っ込んで良いのか?それとも暗黙の了解ってやつですかそうですか。 「な、なんですか」 ジーッとヴィルを眺めてたら、少し困惑した表情で彼が尋ねた。うーん、声からしても男だよなぁ…とか思ったんだけど、 「お前、可愛いな」 「っ!?初対面の方にっ言われたくないです!」 「ほんとだよ!いくら僕の先代だからってヴィル君は渡さないんだから!」 「いやそんな事では…ん、先代…?」 ....................... まだ続きますね。書いてないけど。 ←back |