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レガッタ視点





CAST:ルクス,レガッタ,レウ,ヴィル(グラニデ)

「はぁ!?兄ちゃんより絶対ヴィル兄の方がかっこいいからね!ウザいけど」

「分かってるよ!でも僕だって仮にもレウの兄なんだから!」

「だから何?僕はヴィル兄のだから食べて上げてるの!兄ちゃんの分まで食べる
気ないし」

「なんでだよっ実兄は助ける気ないってかよ…」

「えぇそうですー!僕だって大好きって訳じゃないんだからね、キノコ!」

ルクスとレウが今日も口喧嘩。今は食堂に出てきたキノコについて言い合いしているらしい。
ディセンダーは何故かキノコ嫌いが多い。…いや、嫌いとかいうレベルじゃない。もうトラウマと化してる人も数名。ルクスとラグさんは本当に頑張れば食べれるらしいが、ヴィル君とアルティアラちゃんは見た瞬間に逃走。ラピリアさんに至っては即倒だ。唯一食べれるレウにメルちゃん、それに私、レガッタは何の影響も無いのにどうしてだろう。以前、アルティアラちゃんにチラッと聞いた話によれば先代が関わっているらしい。

「あぁこうなったらレガッタ!食べて!」

「好き嫌いは駄目だよー?ちゃんと食べないと☆」

「くそっ、なんで僕は食べなきゃいけないんだ。あ、ヴィルみたいに僕も逃げるか」

「兄ちゃん足遅いんだしやめとけばー」

「うっ、うるさい!そもそもなんでビショップのアルティアラも早いんだ…」

アルティアラちゃんは色々謎だ。杖の振り回し方がなんというか剣を使うのと同じな気がする。それに何か、力を押さえているような。
謎と言えばお兄さんも。ヴィル君一人で行ったはずのニアタ・モナドから帰ってきた時、当たり前の様に後ろにいたラピリアさん。思えば、ニアタ・モナドに行く直前のヴィル君は何か、違う気がした。
ディセンダー、とまとめられても実際、分からない事だらけだ。アルティアラちゃんにラピリアさんは独特の雰囲気を出してるし、ヴィル君もきっと何か隠している。ラグさんは訳分かんないしメルちゃんもたまに様子が変。ルクスとレウに関しては大体知ってるけど…それでも。
そして、私。
私には何もない。本当に、何もないのだ。

最近思うのは、私が一人ぼっちである事。
皆、兄弟がいたり、秘密を共有したり。愛し合ったり、たまに…憎みあったり。
でも私には何にもない。
どうして世界樹は私を生んだんだろう。
私がいなくても、世界は救えるだろうに。

「レガッタ、どうしました?」

「えっ…?」

突然、後ろから声をかけられドキッとした。後ろを振り向くと、相変わらずの死んだ魚の目で私を不思議そうに見つめるヴィル君がいた。
自分の存在意義を考えてたなんて言えない。しどろもどろしている私を見るとヴィル君は小さく笑い、私の頭をそっと撫でた。

「何に悩んでるかは知りませんけど、誰かに相談するのも一つの手ですよ」

私は、小さく頷く事しか出来なかった。
撫でられるのは好き。ヴィル君は優しいから大好き。

「わーレガッタよしよしされてる!ヴィル兄、僕も!キノコ食べた!」

「はいはい良くできました」

レウの言葉にヴィル君は適当に相槌を打つと私の頭から手を放し、レウの方に向かおうとした。あ、待ってー

「ヴィル君!」

「ん、なんです?」

離れかけた足が止まった。怪訝そうな表情。駄目だ、どうして私は。

「や…その、えと…なんでも、ないかな…ごめん」

「…そうですか」

足がまた、動きはじめた。
自分の存在意義。きっとそれは私自身が捜さないといけない。
彼に頼ってはいけない。誰にでも優しい彼に、甘えてはいけない。

「…よしっ」

「お、レガッタ何かヤル気になった?」

ガッツポーズを取ったのを丁度ルクスに見られていたらしく、笑って、そう訪ねられた。
私も笑って、それに頷く。

「じっとしててもはじまらないと思うの!」

その通りよ。きっと私が考えたところで何結果は出ない、だから。
すると、ヴィル君が笑って私を見た。

「そうですね、じゃあ俺も御一緒しましょうか」

予想外だった。凄く嬉しい、でも。

「ヴィル兄にレガ姉いるなら俺も行く!な、兄ちゃん」

「あぁ、そうだな」

レウがVサインでそう言い、ルクスも頷いた。
そうだ、私には兄弟なんていなくたって素敵な仲間がいた。ディセンダーなんて、ぶっちゃけた話なにか血の繋がりがある訳でもないけど、絆は強いと思う。

「よーしっじゃあ討伐依頼にしようよ!」

「あ、それなら獄門道のナイトレイド20体とか」

「え、ちょヴィルそれは」

「ヴィル兄がそう言うなら!うんっ行こう!」

レウがルクスの首根っこを掴みズルズル連れて食堂を出た。残ったヴィル君と私は顔を見合わせると思わず吹き出した。

「くくっ…じゃあ行きますか、お嬢さん?」

「りょーかいっ!」

ヴィル君が差し伸べた手は温かくて。
思わず本音が出そうになったのを笑って堪えた。
まだ、しまっておくべきだ。叶わない夢だから、尚更。

例え私に何も力が無くてもディセンダーであることを誇りに思いたい。誇りに思えるような事を少しでも多く、成し遂げたい。
そう思ったら、さっきまで悩んでいた心に光が射し込んだ、そんな気がした。

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