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双子





CAST:ヴィル,ラグ(グラニデ)

「あぁ…くそっまだ眠いって言うのに…」

今日は昼まで寝てやる。
そう決めたのに起きたのは結局7時。どうやら俺は早起きの習慣が抜けないらしい。昨日はほぼ徹夜でプラチナと金を作り続けたから正直今、凄く眠い。だが一度起きたらもう寝れない性格なので、仕方なしに起きる事にする。

「全く…どっかの馬鹿が余計な仕事持ってくるから……ん?」

ベッドから出ようと身体を動かそうとした、が何かに捕まれて動かない。
なんですかこれは俗に言う金縛りですか?いやいやあり得ないでしょう。太陽が眩しい今に出てくるはずもない。
まだ寝ている頭で考える。何か寒気がしてきた。…そういえばあれはどこで寝たんだ?

「はぁはぁ…朝起きたら等身大ヴィル君の抱き枕が…」

「そこですかーっ!!」

寒気の原因はこれか。見ると丁度俺の腰辺りにしがみついている。昨日、さぁ寝ようかと思った瞬間にノックもなしにいきなり入ってきてプラチナ作って欲しいとか僕の欲求を(略)とかいきなり頼みやがった非常識な俺の不本意な兄が。

「え、まさかのボイス付き?じゃ…じゃあもしかしてあんな声やこんな声が」

「目を覚ましなさいこの変態が!」

ゴツン。

鈍い音が響いた。思いっきり頭を殴ってやった。流石にこれで起きるだろう。というか何時俺のベッドに入ってきたんですか…。

「やー痛いよ本気にしないでよヴィル君、僕が本物と間違える訳ないでしょ?あぁ…もしかして嫉妬した?」

「誰が何に嫉妬するんですか?…お兄様?今なら俺、秘奥義だって撃てますけど」

「わーヴィル君怖いーLV100差以上の僕にも容赦ないよね」

ラグはそう言うと渋々、といった風に離れた。そんなシュンとした顔されても!俺は悪くないですよ、絶対。

「折角…一夜を共にした仲なのに」

「勘違いされる言い方はやめて貰えますか」

「だって本当でしょ?ねぇ…気持ち良かった?また」

「あんな大量のプラチナ作りなんかもう二度と御免です!」

これとまともな会話なんて成立しない。皆ブラコンで納得してますけど明らかに行き過ぎてるんですよ!あぁ、なんでこれが兄なんだろう。まだラピリアの方がマシですよ…無害じゃないですか。あ、それともやっぱりアルティアラさんもそれなりに苦労してるんでしょうか。

「わー寒いー人肌ー」

「どうせ起きなきゃいけないんですよ、貴方も早く起きて下さい、邪魔」

俺がベッドから出たらラグが甘えた声でわーわー喚き始めた。うるさい…二重人格というか猫かぶりというか。俺がいなければもう少しまともな人間なのになぁとつくづく思う。

「あ、今俺がいなければ良かったとか思った?」

「はい?」

なんだいきなり。俺の思っていた事をズバリと当てやがった。たまに…いや、良くある。結構ラグは俺の考えている事を当ててくる。…顔に出やすいのだろうか。

「ふふ、僕だから分かるんだよ」

ラグは微笑するとそう言った。また、か。

「顔に出やすい…それもそうだけど僕だから。僕はヴィル君の事、殆ど分かってるからね。いつも見てるし」

普段の寒気はやはりそうですか。誰かに監視されている気はしてましたが貴方だったんですね。納得というか、溜め息が出る。

「そんな溜め息なんて酷いなー。僕はヴィル君の好きな物、嫌いな物は勿論、身長体重、他にも好きなタイプ、弱点とかなんでも知ってるんだから!結構僕頑張ったでしょ?」

誉めて、と言わんばかりの笑顔。うっ…こっち見んな…っ、俺は目を反らし、精一杯の抵抗。

「気持ち悪い!」

「ヴィル君はツンデレだからね☆それは愛と受け取って」

「貴方俺の事なんでも知ってるんでしょう?じゃあ俺が貴方の事をどれだけ嫌いか」

「うん、ヴィル君普段はツンツンだけどそれは愛情の裏返し!勿論分かってるよ」

「何も分かってない!」

あぁ、なんでここまで話が繋がらないんだろう。言い合いの方がまだマシだ。ラグと話をしても噛み合う気がしない。

「あー行っちゃうのー僕を置いて?」

「貴方と話していても苛々するだけですから。顔でも洗ってきます」

ヴィルはベッドでゴロゴロしているラグを睨み付け、そう伝えると乱暴に扉を開け、また乱暴に扉を閉めた。ラグはその音に一瞬驚くが小さく溜め息をつくと、また寝転がった。


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