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※創作BL

「え…キミって、女の子じゃなかったの…?」


恩人にその態度とはどーいうことだ。





「悪かったって、うろ覚えの記憶と名前と料理が出来る子、しか知らないんだから」

「くそっ、どいつもこいつも女扱いしやがって、俺の何処が女なんだよ」


 先日、夜中に雑誌を捨てようと(本当はいけないんだけど)ごみ捨て場へ向かったら何故かそこに一人の男が倒れていて。様子みたら寝てるというか酔い潰れてるっぽくて善良な俺は放っておく訳にもいかず家に連れて帰ることにした。翌日、俺は学校だったから起こしても良かったんだけど気持ち悪そうだったから朝食だけ作って出ていったら帰ってきた時にはもういなかった。別に帰ったのは構わないし、置いておいた朝食も食べてくれたから良いんだけど。あれから数週間、ちょうどさっき、家付近のコンビニでその彼を見つけて、思わず声をかけたら今の台詞だった。

これはない。

 仕方なく助けてやったとかは思ってないし、だから感謝して欲しいとかそれはどーでも良くて、でもだからって第一声が女だと思った、は流石にイラッときた。


「でもキミ可愛いよ」

「次言ったら眼鏡叩き割るから」

「怖っ…最近の若い子は嫌だなあ」

「若い子って…あんたも十分若いじゃん」

「でも俺四捨五入したら三十路だよ」

「え、嘘マジですか」

「露骨な反応傷つくんだけど」


 俺がタメ語でも気にしないから大学生くらいだと思ったら全然そんなことなかった。

ふーん…じゃあ10才くらい年上ってことなのか。

 因みに今俺たちは家に帰る途中。何も言わないってことは多分この男も同じマンションなんだろう。…さっきから言いにくいな。


「ねえ、あんた名前なんて言うの?」

「個人情報聞いちゃう系?」

「俺の名前知ってるんだから良いじゃん」

「ま、そうだねー大辻空夜」

「空夜か…ふーん…」


思ったよりあっさり答えてくれた。なんだか忘れっぽい俺だけど、こいつの名前は忘れられない気がした。


「僕も聞きたかったんだけどさ、キミの名前なんて読むの?」

「え?」

「結に飴って…ゆあ?はな…おかゆあ、ちゃん?」

「あ、じゃなくてい、だよ。序でに苗字はみかげ。みかげゆい、って読むの」

「みかげか!ゆいちゃんか…やっぱり名前も可愛いね」

「可愛くねーよ!それにちゃん付けるな!」

「あはは!ねえキミの料理美味しかった!また食べたいんだけど」

「料理ってただの粥だろ…別に良いよ。俺の部屋番号分かる?10…」

「勿論分かるよ!じゃあまたね!」


 マンションの前で、そう手を振りながら言うと走っていってしまった。あれ、同じマンションじゃないのか?っていうかあいつ俺の部屋番号まだ覚えてるのかよ…それに名前。
確かに、あいつを連れて帰った翌日、学校だったから仕方なく置き手紙をして、そこに名前を書いたんだけど、まだ持ってたりするのだろうか。

…まさかな。

 中々に謎な人間だけど意外と気が合うかもしれない。
面白い知り合いが出来た。気がする。


この時の俺はまだ、それくらいしか考えてなかった。


一印象


空結その1

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