*私の世界(TOW3/ラザリス) |
「そうか…これが…僕の世界を…」 知能。決定的に欠けていたそれを手にしたラザリスは、絶望した。知ってしまったから。自分達ではなく実に愚かな人々の方が今は勝ってしまっていることを。 「…くそっ!僕はこんな奴等のせいで消されたのか!いや…違ったね、今も僕は生きてるんだ、ねえ?」 ラザリスは私を押し倒すと馬乗りになり笑いながら私の首を締めた。苦しんでる表情がみたいんですか?何かを待つような顔で見ていたが飽きたのかパッと手を放した。頭が床に激突する。痛い。視界がぼやけた。 「なんで、キミはいつまでもここにいるの?何かを叶えて欲しいんでしょ?言っていいよ、僕今機嫌最悪だから叶えてあげる」 「…」 「なんか答えれば?…答えろよ!」 「…何度言ったら分かるんですか?私は特に望む事なんてありませんよ」 「嘘だ…そんな人間、いるわけない!」 別に人間じゃないし、と言おうかと思ったが必要もない。…別に望む事がずっとなかった訳じゃない。でも、今となってはどうでもいいことだ。 「まあ、ご自由に仰って下さい」 「ーっ、ムカつく!ムカつくムカつく苛々する!さっさと消えちゃえよ!僕の前に現れるな!」 何かを叫びながらラザリスは何度も蹴った。もう、その台詞を聞くのも何度目だろう。時々血を吐き出したけど私は別にそう簡単には死にはしない。彼女だって、わかっている。 本当は、消えてほしくないくせに。 「ハァ…っ、意味わかんないよ…僕には理解できない…」 「…それは、貴女がまだ子供だからでしょう?」 「違う!僕は…っ」 「貴女の気が済むならいくらでもどうぞ。でも、そんな事したって変わらないでしょう?」 そう私がいうとラザリスは急に座り込み小さく笑った。冷たい手が、頬に触れた。 「…そうだね、いつもごめんね。キミは僕の味方だよね」 「分かって下さったなら構いませんよ。ラザリス、そんな顔をしないで」 悲しむ姿なんて、俺はみたくないんだ。誰一人悲しまない、幸せな世界に。 私はもう主人公ではないから。 ラザリスは微笑むと私の手を取り言った。 「うん…ナマエは、特別だから、そのままで僕の世界にいれてあげるね」 「……光栄です、ラザリス様」 貴方がいないこの世界なんて、俺には必要ないから。 ....................... ←back |