短編 | ナノ


その日がくるまで(TOS-R)





「…じゃあな、ナマエ」


やだ、いかないで。

私良いなんて、言ってない。

勝手にバイバイなんてやめて。

一人で責任背負って、いかないでよ。

ねえ、ねえ。




「リヒター!!!」

「うわあああっ」

「ア…ステ、ル…」

「へ?」



今のは夢、か。
嫌な夢をみたなとため息をついた。
…あれ、なんでアステルが、

「えっ、い、いやだからボクはエミル…」

アステル、は情けない声でそう言った。少しシュンとしてる。

…もういない。
彼はもう、何処を探してもいないのだ。
分かっている。
だって、


カレガコロシタノダカラ。


「ナマエ…だ、大丈夫…?」


心配そうな目でアステルは私を見ている。…本当の、アステルはね。


「…私がエミルごときに心配されるなんて心外ですう」

「な、なんだよごときって!確かにボクは弱いけど…」

「弱いのは当たり前です。いつもヘタレでオドオドなのがごときの理由なんです」


だって、貴方はアステルじゃないもの。


「もう…あ、そういえばさっきリヒター、って叫んでたような気が…」

「ああ……私の寝言聞いて弱味でも握ろうとしたんです?まだまだあまっちょろいですねえ」

「そんなわけないでしょ!ボクは」

「今は無理です」

「え…」


今明かして、リヒターの邪魔をする気はない。したくない。
相変わらずのマヌケ顔のエミルはおかしくって、マルタが可愛がるのもわかるかもしれない。


「もう少し、待ってほしいです」


彼が力を手にいれる、その時まで。


.......................


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