短編 | ナノ






長くて眠い授業が全て終わり、放課後になる。ホームルームが終わり、それでも尚友人と楽しそうに喋る生徒は沢山いるけれど、それも一時間もすればほぼいなくなる。
わたしは放課後の教室で、窓際の自分の席で本を読むのが好きだ。そして、窓から見えるグラウンドを眺めるのがとても好きだ。・・・正確には、陸上部に所属している幼なじみが部活に勤しむところを見るのが好きなんだ。

去年も一昨年もから陸上部の活動場所から大分ずれたところに教室があってわざわざ移動しなくてはならなかったけど今年は違う。
一番見やすい教室がわたしたちのクラスルームなのだ。

「怜ちゃん今日も輝いてるなあ・・・」

見やすいとはいってもやっぱり距離はあるわけで、目を細めないと顔までは分からなかったりする。でもそんなことしなくても幼なじみの姿はすぐ見つけることが出来る。

竜ヶ崎怜。
それがわたしの幼なじみの名前だ。

普段は眉間にしわ寄せてばかりで、全然そうは見えないけれど、本気で走っているときの怜ちゃんは本当に輝いているのだ。他の陸上部員とは違いダントツで。
そんな輝いている伶ちゃんを見るのがわたしの幸せだった。

「あ・・・怜ちゃん気付いたかな」

丁度タイムを測り終えでもしたのか、レーンから離れていく怜ちゃんがちらりとこちらを向いた。気がする。
直ぐに顔を逸らされてしまったから分からないけど。

いつの間にか日が傾いてきていて、オレンジ色の夕日が教室に差し込む。走っていた他の陸上部員たちが片づけをはじめていたからそろそろ部活動も終わりだろう。

わたしたちは今はもう中学三年生で、進学について本気で考えなくてはならなくなっていた。わたしは、未だに何も決まっていないけれど、怜ちゃんを見ていたいから、同じところに進学出来たらいいなって思う。
怜ちゃんはなんていうかな。もっとよく悩めって怒られそうだけど。

「あれ・・・怜ちゃんなんか言ってる・・・?そ、こで、ま、って、ろ・・・かな?はーい了解しました、っと」

顧問の話が終わったらしく、校舎へ向かおうとする部員たちの中にいた怜ちゃんが気がついたらこちらを向いていた。
わたしが了解しましたアピールで敬礼チックなことをしてみたら直ぐまた顔を逸らされてしまった。けど伝わったはず。
見ると他の部員たちもわたしの存在に気付いたのか手を振ってくれる人もいる。誰かわかんないけどとりあえず振り替えしておくとなんか騒ぎながら校舎に入っていった。

多分あと10分くらいで伶ちゃんがこっちに来てくれるだろう。
怜ちゃんは無駄な時間が嫌いだから、すぐに帰れるように準備をしておいた方がいいかな。

・・・わたしは、後どれだけ怜ちゃんと一緒に帰ったりできるのかな。
なんて、ちょっと感慨深くなってみたりした。



ある中学時代の


怜ちゃんのキャラがわかりませーん

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