*はじめての出会い(TOW2) |
「ふぅ…仕方ありませんね、では私がご案内しましょう」 「お、大佐さんだっけ?宜しく頼むよ」 「大佐さんねぇ…私にはジェイドという名があるのですが…」 ジェイド、と言った目の前にいる男性はそう言うと、部屋に案内してくれると言った。 俺、ユーリとエステルは暫く追っ手から逃れる為に、このバンエルティア号に乗せてもらう事になった。どうやらギルドらしく、かくまってもらう代わりに俺達はここの手伝いをする事になった。 いや…な、実際の所ギルドなんだか海賊なんだか分かんねーけど直感的に悪い奴だとは思えないし、匿ってくれるってんなら都合が良い。 「ユーリ、私ギルドなんて初めてですけど一緒に頑張りましょうね!」 「ん?あぁ、そうだな」 エステルはそうガッツポーズをとった。頑張るのは構わないが無茶し過ぎるなよ…正直、少し不安なんだが…。 「お待たせしましたー。ここが貴方達の部屋になりますね」 「そりゃどーも。あ、そういえば俺達ついてきただけだから船内の仕組みがさっぱり分からないんだけど」 部屋だけが分かっても仕方ない。というか普通、船内を案内してから部屋を紹介するんじゃねーの? 「そういうと思ってたんで…あ、ナマエくーん」 そうジェイドが呼んだ先には…遠くてよく分からないが、薄い水色のボサボサ髪の少年?がこちらを向いていて…呼ばれて体を180度回転させた。おいおい逃げるのか。 「いやー逃げるなんて失礼ですね、ー…サンダーブレード!」 「ちょ、っとあんたいきなり!?」 逃げた奴には成敗か。ここのギルドは仲間にも容赦なくいきなり魔術を使うのか…や、何か身の危険が。 …ん?ナマエ?と呼ばれたその少年はサンダーブレードを華麗に避けると、 「ピコピコハンマー!」 盛大に魔法を…え?イタっ 「あー聞こえません見えませんそういう訳で俺は」 「私にはともかく此方のお二方も被害に遭われてるんですけどねー?」 「あ…恐れ入りますすみませーん」 「おや?聞こえないんじゃなかったんですか?」 「うぐっ………はいはい分かりましたよ」 仕方ないな、と頭を掻きながら彼はこちらに向かってきた。 「また新しいメンバーです?」 「えぇ。で、貴方には彼らにこの船内の案内を…あからさまに嫌な顔やめてくれますかねー?」 「なんで俺が…」 「いやーアドリビトム内では先輩のヴィル先輩に任せた方が分かりやすいと思いまして」 「面倒なだけでしょう?まぁ構いませんが…」 おいおい、そんな面倒くさそうな顔で俺らを見るな。別に俺らが悪い訳じゃないんだけど…。というか…このタレ目…何かウザい。 「はじめまして、ナマエと言います」 「私はエステリーゼと申します!…ほら、ユーリも」 「え?あ、あぁ、俺はユーリ・ローウェルだ」 「じゃあ後は頼みましたよー☆」 「あ、ちょっとジェイドさん!?…くそっ、敏速は無駄に早いんですよねー…」 明らかに舌打ちをしジェイドが消えた方をナマエは睨んだ。…今からこいつに案内してもらうのか。まぁ無口な奴よりはずっとマシか。でもどうせなら可愛い子でも期待してたんだよな… 「えーと…えー…」 「私がエステルで、こちらがユーリですよ」 「あぁ、そうそう。じゃあエステルさん、ユーリさん、仕方がないので俺が案内しますね」 確かこれが、最初の出会い。 ....................... ←back |