短編 | ナノ


偶然は必然?(T&B/バーナビー)





偶然がまた偶然を引き起こすのか。


「え…あんた…」

「貴方は…」


いつもの様に仕事をして帰ろうとした所をカリーナが歌ってるんだぜーとおじさんに強引に連れていかれたバーで、思わぬ人と遭遇した。
彼女は…予想外の人物で僕は、焦っている?


「え、なになにー二人は知り合いだったりしちゃうのー?ん?」

「おじさん少しは空気読みなさいよ」

「痛っ」


いつの間にか現れたカリーナに軽く頭を叩かれ虎徹はふてくされたようにグチグチ言いながら空になったグラスにお酒を注いだ。

バーナビーと、カウンターの女性は今も思考停止状態なのか微動だにしない。
ただ、見つめあっているだけ。


「お姉さん、良いかい?」

「え、ええ」


別の客に呼ばれ二人は我に返ったらしく女性は慌てて注文を取りに、バーナビーも座り直すと何事も無かったように飲みかけのグラスを手に取った。


「…なんですか」


虎徹らの視線に気付いたバーナビーは少しめんどくさそうに聞いた。嫌そうな表情だ。


「いや?バニーちゃんでも動揺する事があるんだなあ、と」

「バーナビーです。それに動揺なんかしていません」

「またまたー、見つめあってるとこおじさん達見たんだから。あの子可愛いねーバニーちゃんの彼女?ってんなわけないか」

「当たり前です。彼女は…アカデミー時の同級生ですよ」


特に照れる事もなく淡々と答えるバーナビーを見て虎徹は小さく溜め息をついた。
思っていた様な関係じゃなかったのか、バニーちゃんのプライベートが少し分か
る気がしたのになあ。


「何を期待してたんだか知りませんけどね。久々だったのと昔と雰囲気が違ったから驚いただけです」

「ふーん」


それでも納得できないのか訝しげな目で虎徹はバーナビーと先程の女性を交互に見た。
大した関係ではない、と言う割にバーナビーはカウンターで応答するその女性を
じっと見ていた。が、虎徹と目が合うと眼鏡を直す振りをして視線を反らした。
…全然気になってるじゃねーか。


「おい、バニーちゃ「ナマエ」


虎徹が何か言おうとしたのをカリーナが遮った。どうやら先程の女性はナマエ、というらしく呼ばれて少しおずおずと振り向いた。


「…なぁに、カリーナ」

「もうすぐシフト終わりでしょ?」

「え…ええ、まあ」

「送ってもらえば?彼に」

「は…」


突然自分に指をさされたからかバーナビーはらしからぬ声を上げた。虎徹が思わず吹き出す。
ナマエ、の方も唖然とし…いやいやと頭をぶんぶん振るとツカツカと歩いてきた。


「何言…そもそも今日は早いからこれから貴方と」

「うーん…ええと、私急用が出来て」

「どういうことよ!なんで私があれと」


少々ムキになるナマエの肩を組むとカリーナは耳元で囁いた。


「折角私が気、回してあげてるんじゃないの。あんた達がどういう関係か知らないけど…ファンなんでしょ?カード沢山持ってるじゃん」

「な…っ、持ってない、持ってない!」


キャッキャするカリーナとナマエを見ながら虎徹はニヤニヤして言った。


「いやあ…若いねえ…」

「…これだからおじさんは」

「ちょっとどういうことだよ、俺はまだ…ってまあいいか。送ってやれよ」

「なんで僕が…」

「おいおい、このまま女性を夜道一人で帰らせる気か?ヒーロー以前に男として問題なんじゃねーの?」


虎徹はそう言いウインクをした。バーナビーはそれを払うと溜め息をつきながら立ち上がった。


「な…何よ…」

「仕方がないから送ってあげる、って言ってるんですよ」

「別に私は、っカリーナ!」

「ほらほら支度してきなさいよ」


カリーナに押され、ナマエは奥の部屋へと入っていった。
バーナビーがまた一つ、溜め息をついた。


「もうちょっと良い言い方があるでしょうに」

「うるさいですよ。…どう接していいかわからないだけです」


弱気に呟いたバーナビーだったが声に出したつもりは無かったらしく、ハッとしたが既に虎徹の耳には入っていた。


「ふーん?バニーちゃんも若いねー」

「………バーナビーです」


顔を反らし、小さく反論した。



***


「なんでこういう事に…」

「良いじゃないの!」

「何がよ!そもそもカリーナが勝手に…」

楽しそうに笑うカリーナにナマエがムキになってると後ろからクラッシュ音と眩しい光に照らされた。
ナマエ達が振り向くと運転席の窓からバーナビーがひょいと顔を出した。
ライトが眩しくて表情が見えないが良い顔してないのは確かだろう。


「乗るんでしょう?」

「…ええ、仕方がないから乗ってあげるわよ!」


ナマエは大股でずんずん車の方へ向かう。
虎徹とカリーナは目を合わせると苦笑した。


「おじさん達はどうするんですか」

「え、俺達?はまあ…いいからお二人さんで帰りな!」

「別に気使う必要なんか…わかりました、じゃあまた」

「おう!」


思いの外あっさり引いたな、と思いながらも虎徹は手を振る。
一方ナマエは助手席側の扉を開けるとポスッと座った。


「貴方の家って…」

「以前と変わってないわ。だからええと…」

「わかりました」


バーナビーはそう言うとハンドルを切った。
少し呆気に取られたようにナマエは彼を見ていたが目が合うとぷい、と夜景へと反らしてしまった。

一方乗らなかった二人は過ぎ去っていく車を心配そうな面持ちでじっと見ていた。


「ナマエって変に見栄っ張りだから…大丈夫かな…」

「さあな。後は本人次第だろ。ふうん、面白そうじゃないの」

「…おじさんは余計な事しないでよ」

「なっ、そんなつもりないっていうかおじさんって酷いなあ」


虎徹の情けない声にカリーナは小さく笑うと車が行ってしまった方をもう一度見た。
友人がバーナビーの事をいつも見ているのは知っていた。
今までに何があったかは知らないが、今日強引に一緒に帰らせたのは悪くない。
きっと上手くいく、はず。
カリーナは心の中で彼女の幸せをそっと願った。



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あまりに酷いので追記。

続 き ま す

文章力ほんと欲しい…これに限らずなんだが
Q.バニーちゃん車なんか持ってるの?
A.シラネ\(^o^)/
俺得でしかないことくらい知ってる

(最初に書いた時はまだバーナビーさんの赤い車が出てなかったんです)
.......................

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