短編 | ナノ


変えられないもの(APH)





私にとって、アメリカは一番大切な人。

でも、彼にとっては。

彼には私なんかよりずっと沢山知り合いがいて、ずっと沢山大切な人がいる。
その中で、私はどこにいるんだろう。
私がいつか死んでしまって、そしたらいつまで私は、アメリカの中で生きていられるんだろう。


「ナマエ、行けるか?」

「あ、うん。もう行けるよ」

「全く…なんでオレまでついていかなきゃいけないんだ…」

「私、別にイギリスに一緒に来て欲しいなんて言ってないわ。私一人でも行けるんだから」

「うるせー、お前一人じゃ心配…とかじゃねーけど、どーせまた一人で行かせたら文句言われるんだろうしな…」

「はいはい、本当は会いたいだけでしょ」

「そ、そんなわけねーだろ、バカっ」


今日はアメリカの家に遊びに行く日、って言ったら若干…大分過保護なイギリスも一緒に行くことになった。
まあ、それは建前だと思うけど。


「アメリカに会うの久々だから楽しみだなあ」

「そうなのか?」

「そうだよ!イギリスは会議で毎回会えるんだろうけど。…羨ましいなあ」

「何が羨ましいんだ。あんな自分勝手なやつと毎回会わなきゃいけないなんて全く…」

「また忍びこんじゃおうかな」

「昔と違って今はセキュリティーが大幅に強化されているから無理だろうな」

「むー」


私が頬を膨らませるとイギリスは苦笑いしながらポンポンと頭を撫でた。

「たまに会えるからこそ、良いんじゃねーの?」

「うーん…」


でも、私にはイギリスやアメリカ達みたいに沢山の時間があるわけじゃないもの。

どうして私はまた、人間に生まれてきてしまったんだろう。
私がイギリス達のように「国」であったら。

そしたら私でも、アメリカの一番になれたかもしれないのに。

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