小説 | ナノ


といっても多分信光で親光前提
イメージ的には天海ルート
光秀がビッチ気味で信長様が調教済←

無意識に男誘って無意識に天下人を意のままに動かす悪女みたいな光秀萌えませんか。













「嗚呼、わたしは、貴方様さえ居てくだされば、何もいらないのでございます」


首に手を掛け、優美に微笑む。普段は隠された素顔が今は惜し気もなく晒され、呑まれてしまいそうだった。内府様、内府様、と請うように紡がれる音色は、思考を追いやるのには充分すぎる。

家康は目前の男の頬を撫でた。滑らかで清らかな白肌は見たままの感触であり、思わず目を細める。
自分より年上のはずのその男はあまりにも若く、美しい。初めて目にした時から変わらないそのかんばせに、畏怖すら覚えていた。まこと人であるのだろうか、物の怪の類ではないのか。それでも、その不思議な麗人に触れないではいられないのだ。例え身を滅ぼす結果になるのだとしても。


「ぁ、ァ……もどかしゅうございます…」

「内府様、」
「ん、……っ…はぁ…」

壊れ物を扱うように、優しく触れる。
こうして身体を重ねることは初めてではなかったが、一度も、乱暴に扱うことはしなかった。奥底に眠る罪の意識に償うように、酷くされたいのだということを知った上で。決して自らそう願うことはなかったが、家康を誘う行動の節々に被虐性が見て取れた。だからこそ、叶えてはやらない。これからもきっと、ずっと。



「…ぁ…もっと、触れて下さいませ」

わたくしに、はやく、


急かすように施された口付けは、あまりにもつたなく、生娘のようだった。さっと顔を朱に染めるのも、目を伏せる仕草も、ひどく愛らしい。

けれど、それは紛い物だ。
いや、紛い物というのは少し違う。無意識に形作られた一連の動作も言動も、過去に刻み込まれたものにすぎない。本人の気付かぬうちに自我は奪われ、かわりに与えられた、それ。誰かが男を抱く度に、嫌でもそれを垣間見る。
死して尚支配しているのだと、家康は感じた。友である、と言っていたあの男も、或いは、過去に同じ想いをしていたのだろう、か。けれど、それでも、それでも構わない。死した者など、朽ちて行くだけ。今彼の者に触れられるのは、自分だけなのだ。


 

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