小説 | ナノ

一時の快楽は過ぎてしまえばただ空虚だなんて、知りたくなかった。知らなくて良かった。ただ私、は


「信長、公」


燃える燃える、紅き焔が、その中の黒き貴方を生えさせる。
息苦しい、臓器が悲鳴を上げている。鎧が酷く熱を帯び、肩が焼けてしまいそうだ。
けれどそんなことなどどうでも良い。
ただ少しの戯れを、一生のものとし味わい尽くすために。

それでも、



「貴方は最期まで、私に縛られてはくれませんでした、ね。」


1人燃えていく身体を呆然と見つめてただ笑った。
煙が目に染みたのだろう、止まらない涙と、血と、嗚呼私は狂っている!

最期を斬る感覚を、味わわせてはくれなかった。彼の人は独りで消えていった。それでも生涯で一番愉しかった、のに。



「今の私は、なんでしょう、?」



夢の後が、跡が、こんなにも虚しいことは。知っていたのでしょうか理解していたのでしょうかだから貴方は?







ただ一つ、真実なのは
(私の手の中には何一つ存在していないということ)













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本能寺後
生きる意味を無くしてしまった。


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