「はい、こちらキラ捜査本部中田です」

電話越しに聞こえる彼の声。

「あ、L?」
「あなたですか」
「えへへ」
「あなたにはこの番号は教えていないはずです。どうしたんです?」

半分呆れたようなそんな声。残念ねわたしにLの知らないことなんてないんだから。わたしたちはワイミーズハウス出身であった。LがLになる前から知っているわけでもちろんLの本名だって知っている。おっとこれはキラにバレたらまずいんだったね。

「今日はなんの日?」
「ハロウィン」
「え?」
「違うんですか?」
「いや、それもそうだけど」

やっぱりLのことだからこうなるとは毎年予想がついていたのだけれど。彼、また自分の誕生日を忘れてる。毎年飽きもせず事件の犯人を追っている彼にとっては自分の誕生日だなんてほんの些細なことに過ぎないのかな。でもハロウィンはちゃんと覚えているのね。

「誕生日、ですか」
「嬉しくないの?」
「私にはあまり、関係ありません。それにこの歳にもなると…」
「違うよ」

電話から聞こえてくる彼の声を遮るように私は口を挟んだ。

「Lが今日この日まで無事に生きていてくれたことを感謝する日なんだよ」
「感謝…」
「L、生まれてきてくれてありがとう。今日まで無事に生きていてくれてありがとう」

突然彼の声が聞こえなくなってきた。L、どうしたの?なにか話してよねえ。ただでさえLの顔見れないから寂しいのに、声まで聞けなくなっちゃったら…どうすればいいのさ。

「キラになんかに殺されないでよね。私がちゃんと警察になれたら結婚して、よぼよぼのおじいちゃんおばあちゃんになるまで長生きするんだからね。それまで死んじゃだめだからね」

私はいつの間にか涙を流していた。震える声で必死にLに話しかけていた。Lは何も言わずただじっと私の話を聞いていてくれていた。私はそんなLの優しさにさらに涙が溢れてきた。

「L、ありがとう」



Happy Birthday L Lawliet