01


異世界へ飛ばされて早半年。

俺は未だにここで神子をやっている。

だが俺は成りたくてなったわけではない。正直神子とは!!とネットで検索したいものだが、ネットなんてものもない。

かと言って勉強しろと言われると。俺は勉強には不向きなのだ。

事の発端は、ある女が伝説の神子を名乗って詐欺を働き、それが審判にかけられる直前、俺を身代わりに逃げた。しかも俺はこう見えて家事全般、またはバラエティーに富んだ能力を持っていたため、正式に神子として合格してしまった。

合格してしまったが!!俺は異世界というか現代っ子でありながら、高校をダブったという不良と言うか落ちこぼれと言うか、一般人なのだ。

さぁどうする!

ここで神子をやれって?できるかんなもん!!と投げ出していいのだが…。俺には好きな人ができたわけで…。

好きな人とはこの国の王様なわけで…。

王様も何やら俺を気に入っているわけで…。

結局文句も言わず、神子をやっている。


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まず、朝。

何故か素っ裸の王様―――アリベルア、通称アリィが背後から抱きしめている。

毎度のことなのだが、ここは俺の部屋だったはずだ…。

確かに恋人だがなんだかになって以来、偶にセックスするようになったが、しない日も毎日こいつは俺のベッドにもぐりこんでいる。

しかたないので、ほっといて起き上がろうとすると、この腕がどうにも外れない。

なまじ良い体付きをしているアリィは顔もイケメンだし、おいおい、この世界の神はどんだけ贔屓野郎なんだ、と思わなくもない。

そんな感じでこの男らしい腕と奮闘していると。

「ジュリ…ジュリ、起きたのか…?」

「起きた、離せ、つーかなんでまたここにいんだよ…?」

「ジュリは温かいからな…」

「湯たんぽでも抱いてろ…っ!おい!」

「っ!!…っぅ…ホントにジュリは跳ね馬だな…」

寝起きをいいことに、顔中にキスをし、そのまま事に及ぼうとする悪い顔面に頭突きをお見舞いし、朝の目覚めとする。


そんで朝飯食って、外に散歩にでも行こうと思ったが、教育係だとかいうルーミア先生が俺の首根をサッと捕まえ、一言。

「今日は逃がしませんから」

アーメン…。

今日はなんていうが、このルーミア先生から逃げられたことなど、…まぁ週2くらいしかないって言うのに!そんな怒らなくても…。

結局この日は鍵のかかった部屋に缶詰で、昼までみっちり勉強した。

勉強ってのは、言葉は通じるが、字の読み書きはできないし、この世界の歴史や常識を主に学んでいる。礼儀もな。

神子の仕事って言うのも此処で習っているが、神子って言うのは万物の源である水と陽に愛された存在で。綺麗な歌声でそれを操るとか…。

無理無理無理。

と内心思っているが、今のところ、水害や災害はないみたいだし、国の象徴としてあればいいらしい。

そこまで習って、昼メシ。

アリィが忙しくなければ一緒に食うし、忙しかったら一人で食ってる。偶に寂しいからそこらへんにいる奴誘って食ってるけど、そうするとアリィの機嫌が悪くなる。

仕事だから仕方ねぇってと宥めては、今日は忙しいようなので、廊下で出会ったメイド服の女の人とか、庭師とか、ルーミア先生と食う事にした。

昼メシは、ラーメン的な物、最近日本食的なものを作ってくれて、俺は大いに喜んでいる。

他の奴らも初めて食べた時は驚いていたが、今は慣れて、美味そうに食っているのが大半だ。


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