事情後




「ひか、もう終わりにしよ」




乱れた服を整えながらユウジ先輩が言った。まるで恋人に別れを告げるようなセリフやけど、別に俺たちは付き合ってるわけではない。体だけの関係、まぁ言えばセフレやな。愛に飢えとったんやろな、気づいたらこんな関係になっとった。寂しい気持ちを埋めるためのただの暇つぶしにしか過ぎひん。


「なんです?いきなり」

「…好きな奴がてきてん」


ほう。先輩に好きな人ねぇ。この人が小春先輩以外に恋愛感情持つ相手とか、あの人しかおらんやろな。



「部長ですか?」

「…」



図星やな。

部活んとき部長が近づくたびに顔真っ赤にして、いかにも恋してますーって感じやった。嫌でも分かるっちゅーねん。ほんま分かりやすい人やわ。


「やっぱこんな関係あかんと思うねん」


先輩が気まずそうに口を開いた。なに改まって言っとんねん。さっきまで俺の下であんあん言っとったやないか。なんか俺だけ盛ってますって感じで、なんかむかついてきた。



「わがままっすね」

「すまん」



すまんちゃうわ。俺がおらないけへん体になっとるくせに。俺から離れるんやったらそれなりの覚悟してもらわな、な?



「先輩、これなーんや」

「え?」


鞄から携帯を取り出して画面を向ける。


「ちょ、これってっ…!」


携帯の画面には普段の生意気な先輩のからは想像できんようなえっちな姿。しかも1枚どころやない。


「綺麗に撮れとるでしょ?」


感じすぎて頭ん中スパークしとって撮られてること気づかんかったあんたが悪い。隙ありすぎや。そんな人が俺から離れようとかあほ抜かすなよ。


「っ、消せや…っ!」

「いやです」


先輩が携帯を取り上げようとするが、ひょいっとうまいこと交わしたった。消すわけないやろ。あんたの弱味でもあるんやから。あぁ、いま俺最高に悪い顔してるんやろな。口元がにやけてるのが自分でも分かる。おもしろくて仕方ない。


「部長に送ったらどう思われるやろ?」

「やっ…」


先輩のほっそい腕を掴んで、目の前で携帯をヒラヒラさせる。自分の卑猥な姿に顔を背ける先輩。あー、かわええ。


「おねがぃっ…ひか離して…」


離すわけないやろ。


「ね、先輩なら分かるでしょ?」

「いゃ…」

「わ か る で し ょ ?」


先輩の顎を掴んでこちらを向かせる。目は潤んでまじ泣き寸前。泣かせるつもりはないんやけどなぁ。


「アホなこと考えんで、先輩は俺の下であんあん言っとけばええんです。俺おらないけへん体になっとるくせに」


やっぱ俺どSやわ。


「さいってぇ…!」


先輩が睨んでくるけどちっとも怖くも痒くもあらへん。そしてトドメの1言。



「好きでもない相手とヤる先輩のほうがもっと最低」


って耳元で囁いてやった。そしたら言い返せない先輩は頭が混乱したのかたまっていた涙を流しながらうわんとなきはじめた。
先輩の自分勝手な行動で俺から逃げるとかそんなん俺のプライドが許さへん。


逃がさへん。


でも、もし仮に俺が好きな人できたら先輩のことすぐ捨てたるけどな。


だって俺わがままやもん。










・あとがき

俺様いじめっこ財前が書きたかったらこうなった。反省はしていない。