はじめて千歳見たとき、絶対こいつとは仲良くなれんって思った。あほみたいに身長高いわ、授業サボるわ。なのにテニスはうまくて、話したことすらないのになんかいらっとした。俺は勝手に敵対心持ってたけど、当の本人はいつもポワポワしとった。なんか頭から小さい花でも飛んでそうやった。


そんな俺も千歳と付き合いはじめてから1か月が経とうとしている。早いなぁ。最初は嫌いだったはずやのに、自分でも気づかんうちに好きになっとるって変な感じや。

付き合い始めたころは「ユウジ君はちっこくてむぞらしかね〜」って何回も言われた。むぞらしかってなんやねん、日本語喋れや。

初めて千歳の家に行ったときは「となりのト●ロ」について2時間近く語られた。鼻息荒くしながらな。その情熱を少しは学校生活のほうへと持っていってほしいもんや。






「この前なんかアリに話しかけとったわ…」

「どんだけ澄んだ心もってるんですかあの人。ユウジ先輩とは大違いやないですか」

「うっさいわ」



あー、俺もそのうち虫に話しかけたりするんやろか?かなりファンシーカップルやろ。端から見たらただの変人やん。きっと見知らぬ親子に指さされながら「こら、みちゃいけません」とか言われるんやろな。


「逆に千歳先輩がユウジ先輩みたいに口悪くなったら、テニス部全員でユウジ先輩フルボッコですね」

「それ集団リンチやん」

「綺麗な心取り戻したいなら、宮崎アニメ作品全部見たらええんとちゃいます?」

「もう俺には綺麗な心が無いという前提なんやな」



よし、放課後TSUTAYA行こ。