今日は謙也と遊ぶ。まぁ付き合ってるからデートとでも言うとこか。やのに…


「遅い」


昨日アホみたいにはしゃいで13時に時計前集合な!って待ち合わせ場所まで指定してきたんはあいつやで?なのにもう約束の時間を15分も過ぎとる。電話もメールもしたけど応答無しとかなめとるやろ!?関西人はいらちやから待たされるんとか大っ嫌いやねんけど!

いつも「浪速のスピードスターや☆」とかかっこつけてるくせに!俺待たせたんやから、今日からその変な地位も引退やな!はっ!

謙也を脳内でフルボッコしてたときやった。



「わるい!ユウジ!」

と、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。俺の機嫌を最悪にしてくれた超本人や。15分の罪は重いで?覚悟できとるんやろな?






「おっっっっそいわハゲ!!!!!!いつまで待った思てんねん!!いままで何さらしとった…ん…じゃ…って」



最後まで言い切る前に俺の言葉は空気中の二酸化炭素に消えていった。


「悪い悪い!服選んでたら時間過ぎてるん気づかんくてさ!ほんま悪い!なんか奢るわ!」

「お、おん」


たこ焼きでも奢るわ〜とか言う謙也は、いま流行りの伊達メガネをかけて、黒のジャケットと上手く着こなし、俺より何歳か歳上に見えるくらい大人っぽくきまっとった。制服姿からは想像できひんくらい。一瞬だけ謙也ってことを忘れてしまった。お前誰やねん。


「お〜い、ユウジ〜?」

「…え?」

「なんやボーっとして」


謙也がひらひら手を振る。あかん、なんや頭の中が一瞬だけ雲の上になった。


「もしかしてお洒落な謙也くんにドキっとしちゃった?」

「は!?」

「図星やろ〜」

「す、するわけないやろ!」



うそ、した。めっちゃした。ドキっとどころじゃなくて心臓バクッってなったもん。いつもヘタレのくせにこうやって不意打ちでかっこいいことしてくるんズルいわ。謙也のくせに!

「ユウジと遊ぶん嬉しくて、俺めっちゃ悩んだんやで?家で一人でファッションショーしてもうたわ!」


一人で鏡の前で服を散らかす謙也を想像したらなんか笑えてきた。いまごろ部屋は大惨事やな。




「待たせたぶん楽しませたるからなユウジ!!」

って笑顔で俺に手を差しのべてくるヘタレ。ほんま犬みたいやで。なんかもう15分待たされたとかそんなことどうでもよくなった。

デート開始して5分やのに、こんなにドキドキして俺の心臓もつやろか?とか考えながらヘタレの手を握り返した。











・あとがき


中学生な2人が大好きですはぁはあ。