白石は完璧や。イケメンのくせに勉強も運動もできるしテニス部の部長だけあって面倒見もいい。女子にも男子からにも信頼されて人気者。まさに人間のお手本みたいな感じな奴やと思う。まぁ「エクスタシー」と叫ぶことを除いて、白石の悪いところ1つあげてみろとか言われてもすぐ出てこおへんやろうな。



「なぁ、なんで俺なん?」

「んー?何が?」


そんな完璧人間白石が俺に告ってきたのが6か月前。「放課後教室でまってて」って呼び出されて何かと思えば、告白された。最初はテニス部総出の手の込んだドッキリかなんかと思った。夕日で教室がオレンジに染まる中、「ユウジが好き」って真剣な目して言われたときのことは忘れへん。

いままで白石は同い年やけど頼れるお兄さんとしか見てなかったけど、告白されて意識するようになって…付き合い始めた。もちろん俺の1番は小春やで?

そんな白石は自分で言うのもなんだが俺にベタ惚れや。いまもこうして白石の部屋で2人でおるんやけど、うっとおしいくらい後ろからギュウギュウしてきて正直苦しいし暑い。…漫画読みづらいんやけど。


「なんで白石は俺なん?」

「なんやいきなり、不安になったんか?可愛いやっちゃなユウジは。なんなら今から嫌ってくらい愛したってもええで。あ、下に家族おるから声は控えてn(ry」

「違うわハゲ。勝手な解釈すんな」

「えー」


付き合い初めて半年経って気づくことだってある。白石の残念な部分が見えはじめてきた。付き合う前はただの完璧イケメンかと思ったらそうでもなかった。現にいまさっき言葉のセクハラを受けたばかりである。学校では「エロ本なんて興味ないし、見たことない」みたいな顔してるくせに…。ま、俺は慣れたけどな。学校のみんな騙されてんでー。


「もっと他にもおるやろ、なんで俺やねん」

「ユウジがええもん」

「もん言うな。きしょい」



何キャラやねん。



「ユウジは」

「あ?」

「小春と俺どっちが好き?」

「小春」

「ひどない〜?」


とか言いながら俺の腹を撫でてくるこの変態。でも、そんな悪ふざけしてきてくれるところが嬉しい。だってな、白石が学校でもプライベートでも完璧だったら俺自信無くすと思う。やからこうやって中学生らしくじゃれてきてくれたら、なんか「俺しか知らん白石」みたいで特別って感じがすんねん。

俺の中では小春が1番。やけど白石は特別。1番でも、小春より上でも下でもない。


「じゃあ…」

「ぅおっ!?」

いきなり白石の顔が耳の真横まで来たもんやから変な声出てもたやないか。てか、吐息がかかんねんけどっ!


「小春より夢中にさしたるよ、ユウジ」


さっきの甘えてくるような声とは違って、優しく攻めてくるような声で囁かれる。あかん、その声反則やろ。


「やれるもんならやってみぃ」

「お、言うたな?」


白石が俺をソファに押し倒した。


「泣いてもしらんからな」

「はっ、上等やん」


目の前にはドアップの白石。さっきのデレデレ顔はどこえやら、いま俺の目の前には欲情しきったただのイケメンしかおらんかった。


俺の特別になったんやから、浮気したら死なすからなっ!