「光のあほ、死んでしまえ」

「だから断りましたって」


5時間目の真っ最中やのになぜか部室におる。ユウジ先輩はソファを占領して体育座りで顔を埋めたまんまこちらを見向きもしない。ぐずっぐずっと鼻をすする音が聞こえる。きっと泣いてるんやろうな。


―…昼休みに告白された。何年生かも全く知らん女子に。俺からしたら貴重な昼休み減るから良い迷惑にしか思わんのに…。「モテる男は辛いなぁ」とか「めっちゃ可愛いやん!?羨ましいわ!」などとクラスの奴にちゃかされながらも、風の吹く屋上で告白された。なんともベタでありきたり。2年なって何回目や。告白羨ましがる奴がおるけど、俺からしたら無駄な気使うだけやからはっきり言って迷惑。

まぁ答えはきまっとったから「ごめん」って言うた。そしたら泣かれた。泣かれるまではよかってん、問題はそこからや。
泣いたと思ったら、キスされた。1秒にも満たない触れるだけの。「諦めへんから」とか捨て台詞だけ残して名前すら知ることができんかった女子は走って去っていった。

なにすんねん。了解もなしに好きでもない、ましてや知らん奴に唇奪われて…泣きたいんはこっちや。

それからさらにややこしのがその瞬間をユウジ先輩がガッツリ見てしまったってこと。お昼誘おうとして俺を探しにきたらしい。タイミング悪すぎやろ…。




「せんぱい」

「うっさいわ」


それを見てから先輩はずっとこの調子や。俺悪くないのに逆ギレされるし。そんなこと言うたら余計機嫌悪なるから言わずに優しく声をかける。なんや小さい子供を慰めてる気分やわ。


「隙のあるお前が悪いっ」

「はい」

「むだにモテるんも悪いっ」

「はい」

むだにモテるは余計やろ。でも嫉妬してくれてる姿がかわいくてどうでもよくなる。俺ほんまに先輩に惚れてんねんなぁ。


「じゃあ謝れや」

「すんませんでした」


逆ギレされて理不尽な理由で謝罪させられた。悪いなんてこれっぽっちも思ってへん。だってあれはあの女が勝手にやってきた迷惑な行為の1つにでしかない。俺にはユウジ先輩しかおらんのに…そんなに不安になることないのに、アホな先輩やで。そのアホな先輩に惚れてしまった俺はもっとアホなんやろうな。


「せんぱい」

先輩の耳元でとびっきり優しい声で囁いて、手をひいてこちらを向かせる。目真っ赤や。それくらい不安やったんやな。


「俺は先輩のもんですから」

「当たり前や、あほ…んっ」

そう言った生意気な先輩の口をそっと唇を塞ぐ。女王様気質で、でも少しでも不安になったらウサギみたいになる可愛い可愛い俺の先輩。



「このまま6時間目もサボりましょうか?」


「いや言うてもやる気やろ」

「よくわかってますやん」

「不安にさせた分、充電してや?」


そっと俺の首に手を回して可愛く笑う先輩は小悪魔ちゃんや。あー、部活までに終わるやろうか…と考えながら俺たちは快楽に溺れていった。






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