「・・・ん、」舌を差し入れてきた昴さんに応えて私がおずおずと舌を差し出すとすぐに絡め取られて優しく吸われた。舌の動きになんとかあわせようと必死に舌を動かしていると、不意に痺れるような感覚がして思わず声が出た。「あっ、ふぁ」いつの間にそんな事をしたのか、ブラジャーのホックが外れていて、服の上から胸の頂を撫でられたのだ。指の動きに集中すると、今度は舌が疎かになる。舌を吸われて胸をつままれれば、また声が出た。
目を瞑って快感に耐えていると、ちゅっというリップ音を残して離れて行った昴さんがくすくすと笑った。「限界みたいな顔をしてますね・・・今からこれじゃ先が大変だ」私もそう思う。力なく笑えば、昴さんの手は私のズボンと下着を下げて腰を撫でる。息を呑むと、薄く目を開いた彼の綺麗な碧と目が合い、頭がくらくらした。・・・混乱、しているのだろうか。私は。見ていられなくて目を閉じると、瞼に柔らかい感触。すぐ近くで昴さんの声が聞こえ、さっきのはキスだったのだと理解した。

「目は開けていなくてもいい・・・」

切なさを孕んだ昴さんの声は私の胸を締め付ける。赤井さんは、私と昔の恋人の姿を重ねているのだろうか。そう思っていると今度は唇にキス。再び舌を絡めていると急にひやりと上半身が外気に晒される感覚がした。私が慌てるよりも先に服を脱がされて、服の袖で目元を縛って目隠しをされてしまった。流石に慌てた。「ねっ、ねえ・・・昴さっひゃあん!」視界ゼロの何がどうなっているかわからない状況での突然の刺激に声をあげると、クツクツと笑う声が降ってきた。「どうしたんです」どうしたんですじゃない!抗議の声を上げたいが口を開くたびに与えられる快楽に私は喘ぐ事しか出来ない。見えない分感覚が研ぎ澄まされて、昴さんの手の動きに一々過剰に反応してしまう。暖かく柔らかい舌が体を這っているその姿を想像してしまい、私は昴さんの服を掴んだ。

「あぁっ・・・も、もうだめ・・・、限界よ」

体が熱い。汗をかいた額に髪がくっついているのが不快だ。そして上半身の性感帯ばかり攻められたお陰でとてももどかしい。もっと決定的な快楽を、衝撃的な快感を、体が欲しがっていて正直辛い。昴さんが私の足を開かせると、濡れそぼったそこが外気に晒されてひやりとした。その感覚さえ、今は快楽に変わる。

「本当にいいんですか?」

昴さんは私の足の間に体を収めると、焦らすようにお腹を撫でながら言った。いいんですか、だなんて。「・・・何を今更」私が断れない事知ってくるくせに。「あなたは沖矢昴・・・私の恋人」自分に言い聞かせるように、彼に言い聞かせるように、そう呟く。「昴さんが、欲しいわ」「・・・・・・っ、」

彼は私を撫でていた手を離して腰を掴んだ。そのままろくにならしもしていないそこに、大きな熱を突き立てられた。「・・・っ!」息がつまって声が出ない。きゅうきゅうと締まる下腹部に、イってしまったのだと悟った。「くっ・・・」昴さんの辛そうに声が聞こえた。
「!ひゃあっ・・・!」胸の先端に甘い刺激を感じて思わず背中を浮かせると、深く律動を繰り返される。突き上げられる度に声が漏れた。昴さんは私の口から零れた唾液を舌で掬ってそのまま私にキスを一つ落とすと、耳元で囁いた。「クセになってしまいそうですね」それだけでぞくぞくする。私の反応を見て楽しんだ昴さんは律動を激しくしていく。
お互いに息が上がっていって、何も考えられないくらいに行為に熱中する。目の前が真っ白になりそうでぎゅうと目を瞑ると、昴さんも限界が近かったのか辛そうな声を漏らして腰を打ち付ける。そのお陰でまたしても私は達してしまったが、その締め付けが良かったのか、勢い良く私の中から昴さん自身を引き抜いてお腹の上で欲を吐き出した。お腹の上でどくどくと脈打つそれを感じて私は我に帰った。な、な、何を・・・ついにやってしまったのか・・・。朦朧とする頭では実感がわかないが、この気だるさは消える事はない。「・・・ん、」キスを受け入れて一息つくと、昴さんは私の目隠しを解いた。

「無理をさせてしまいましたか?」

「・・・そんなことない」

なんとなく目があわせられなくてそっぽを向いて答えると、昴さんはクツクツと笑った。「あんなに感じてよがっている花子さんを見られるなんて、思ってもいませんでした」「いっ、言わないでよ」予想外の台詞に頭が沸騰しそうだった。キッと睨みあげると、昴さんは口元に手を当てて、少し間を空けてから手を離して性急に顔を近付けてきた。そのままキスをされる。舌を差し入れられて絡められて、また思考が朦朧とする。リップ音を鳴らしながら唇を解放されると、私は大きく息を吐いた。

「あんまり可愛い事しないでください・・・我慢できなくなる」

そう言って自身の唇を舐めた昴さんから目が離せなった。どうやら私はいつのまにかこの男に心底惚れてしまっていたらしい。
嘘から出た真ってやつだったのかな。


end




両思いになった所で連載終了せていただきます・・・
伏線もどきは回収し終わってないので、連載としてではなく短編として二人のお話はまだまだ続きます。

短編になりませんでした。シリーズとして続編出ました。(20160114加筆)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -