ああ、またやってるよ。私はスリザリン寮に戻るために廊下を歩いていたのだが、前方に見えた光景に溜息を吐いた。
私と同寮のセブルス・スネイプが(おそらく)図書館へ向かって歩いているその背後から、グリフィンドールのジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックがこそこそと杖を構えながら尾行しているのが見えた。彼らのはるか後ろにはリーマス・ルーピンとピーター・ペティグリューが物陰に隠れている。リーマス・ルーピンは頭に手をあてていたし、ピーター・ペティグリューは遠目から見てもわかるくらいにガタガタと震えていた。わかってるなら二人とも止めなさいよ。
呆れたような顔の私に気付いたスネイプが立ち止まろうとした瞬間、背後のポッターとブラックが今だとばかりに飛び出してきたので、私は咄嗟に杖を構えた。「エクスペリアームス!」
私が呪文を唱えると、スネイプは驚いた顔をしてからすぐに自分の杖を構えて背後を振り返った。

「くそ!スプラウト!邪魔するなよ!」

「邪魔されたくなかったら何もしない事ね!」

杖を吹き飛ばされたポッターが喚くと、ブラックが「ディフィンド!」と、あろうことか、私に向かって呪文を放ったではないか!ちょっと待て、何を切り裂くつもりだ!!

「セクタムセンプラ!」

ブラックが私を攻撃したのだと理解したらしいスネイプがすさまじい速さでブラックに呪文を放った。杖の先から出てきた魔法の光はまるでクロスカウンターでもしたみたいに交差した。「プロテゴ!!」「きゃあ!!」反撃してくれたのは嬉しいけどもスネイプ。先にあっちのルーピンみたいに保護呪文をかけてくれ。切り裂かれた胸元を咄嗟に押さえながら切実に思った。
「サンっ!」悲鳴を上げた私を振り返ったセブルスは、私の姿を目に入れた瞬間、顔を真っ赤にさせて顔を戻した。ブラックはふふんと得意げに笑っている。あの野郎・・・!

「へえ、似合うじゃねーかスプラウト」

「エクスペリアームス!インカーセラス!!インセンディオ!!ステューピファイ!!!」

スネイプが「セクタムセンプラ」を唱えたのと同時に私が矢継ぎ早に攻撃呪文を多用すると、悪戯仕掛け人たちは一目散に逃げて行った。

「花子・・・すまない。たまたま僕のそばにいたばっかりに」スネイプは私のことも見ずに杖を一振りして言った。破れてしまった制服の胸元とネクタイは元通りに直ったが、なくなってしまったボタンは直らなかった。「いいよ。ありがとうスネイプ」お礼を言ったら振り返ったスネイプだったけど、大きくはだけた胸元をまともに直視してしまって、また顔を真っ赤にさせて固まった。魔法を使えばこのボタンも元通りに戻るのだろうけど、あいにくスネイプも私も家庭魔法を知らなかった。「あー、後で新しい制服を要求しておく必要があるわね」と私が呟いてローブで胸元を隠すと、スネイプは「あ、ああ・・・」となんとか声を絞り出したのだった。

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