朝になって目が覚めて、自分以外の気配がある事に安心して溜息を付いた。
いつだってここから自由に出て行くことが出来るのに、それをしないのはただ単に彼の気まぐれかもしれない。それか思うところがあるのか。どっちにしても私にとって喜ばしい事には変わりない。まあ、しいて言うなら後者だともっと嬉しいのだけど。
私から限界まで離れるようにベッドの端、壁際の方に縮こまって眠るグズマを起こさないようにゆっくりと、決して広くは無いベッドから降りた。朝食の用意をしよう。今日はきっと良い天気だ。朝ごはんを食べたら、皆で日向ぼっこをするのも悪くは無いだろう。なにせずっと雨の降る湿った場所にいたのだから、パラスみたいにキノコでも生えたら大変だ。
リビングに移動して真っ先にカーテンを開けた。おお、見事な晴天。心まで晴れ渡るようだ。(まあ私の場合グズマを手に入れた事が最も大きく作用しているのだろうが)
支度が全て終わるまでにグズマが起きてこなかったら寝顔を眺めるのも良いだろう。わくわくしてきた。


グズマを起こすまいと人生で一番というほどに極力音を立てずに身支度と食事の支度を整えた結果、努力が報われたのかグズマは寝室から出てこなかった。でももしかしたら実は起きているけど出てこないだけかも・・・と、はやる心を押さえてドアを開ける。希望通りグズマはまだ眠っているようだった。
完全に壁を向いたままだった体制が、私がいなくなったことによって出来た空間に侵食していた。寝返りをうっていてくれたおかげで、私は心行くまで寝顔を堪能できた。
あの悪い目つきも閉じられていては形無しだった。普段のスカル団・ボスとしての顔はボスらしい顔をしているが、寝顔は歳相応・・・下手したらそれよりも幼い。
折角なのでその寝顔を写真に収めて、ついでにと柔らかい白髪に手を伸ばした。そっと撫で回して、そのまま手をずらして頬に添える。それから輪郭をなぞって唇を撫でた。
撫でてから、あっ!と思って手を引っ込めたがもう遅い。が、幸いな事にグズマはまだ起きていない。
しまった迂闊な事をした。起きなくて良かった・・・。
私の内情が知れては面白くない。
寒気を感じたのか、グズマがもぞもぞと動いて頭から布団を被ってしまったので、至福の寝顔拝見タイムは終わりを迎えてしまった・・・。
こうなったら仕方ない、起こすとするか・・・。布団を剥ぎ取ろうとしたがギッチリと掴んでいるのかなかなか剥がせず、私は諦めて(おそらく)肩であろう場所に手を置いて気持ち大きめの声で言った。

「グズマくん!朝だよ!ご飯食べよう」

「ん・・・んぁ?」

寝起きで掠れた声がくぐもって聞こえてとてもセクシーです朝からありがとうございます!っていう心の叫びを押し殺すように、私はもう一度声をかけた。

「グズマくん!朝ごはん!食べよう!」




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