全員の場合


68お
「…途中から別れなきゃいいけど」

69愛
「…あぁ、それで、香澄って子を」

70お
「…愛菜ちゃん。本当に此処に就職する予定?」

71愛
「えぇ。最初は不手際で使えないかもしれないけれども」

72お
「……そう。それじゃあとりあえず、1つだけ質問!」

73愛
「……何かしら」

74お
「君にとって、人生って?」

75愛
「昔の私なら、上手く自分で進めていくもの。とでも断言するわ」

76お
「そっか……今は?」

77愛
「今…今は……」

78お
「いいよ。言わなくて。内定書、後で郵送しとくね」

79愛
「……え?」

おっさん、携帯のバイブレーションが鳴る。

80お
「ん?だから合格。……あー、はいはい。マイハニーっ!いや、ゴメンって。クライアントの依頼は終わったの?…………はぁ。あー、はいはい、そっち行くよ」

81舞
「……何かおじさん。呆気なく決めたな」

82愛
「…拍子抜けするわ」

おっさん。通話を完了させ、デスクの中から必要な物を鞄の中に入れる。

83お
「さて、俺、一週間ここ空けるから、未央里に言っておいてくれるかな?」

84舞
「はぁ!?いきなり過ぎだろおじさん!」

85お
「久しぶりのおじさん指名のクライアントだからさぁー、ちょっくらパスポート申請するからね〜」

86愛
「え……此処はどうするの」

87お
「あ、そうだね……はい!これをあげよう!!」

おっさん、愛菜の方に木製のストラップ付きの鍵を渡す。

88愛
「えっ!!これ……。
……分かったわよ!それじゃあ、一週間分くらい請け負うわ」

89お
「!?おぉ…これはこれは頼もしいよ。それじゃあ、戸締りよろしくー!」

おっさん、扉に近づいていく。

90舞
「ちょっ!?いつの間にか!それは無いだろ!!」

91お
「舞ちゃん、明日の話し合いには主語付けて話そうね〜。また7日後ね〜」

おっさん退室する。
舞はソファに凭れかかり、愛菜は鍵を手で振り子のように動かす。

92愛
「まさか、仕事を任されるとは…」

93舞
「……そういや、愛菜がドヤ顔してたとき、おじさん変な顔してなかったか?」

94愛
「え?そうかしら。……明日、舞は此処に来れないわね。……期待してるわ」

95舞
「とちったら、此処に相談に来るよ」

場面転換。
おっさん、目的地に向かうために歩く。周りは賑わっている。

96お
「……とりあえず、未央里は死なずに済んだし。香澄もなんとかなったろ……。
愛菜ちゃんのあれは予想外だったなぁ…てっきり返すと思ったんだけど」

97お
「ま、人生何があるか分からない方が楽だしな…」

98お
(どう生きるか。
そんなの、他人に教えられていきてるのも、自分で生きたいのも、それでいい。
時間がどうだとか、結果がそうだったとか…人生を総合してそれでいい。それがいい。
そして、人間時計が23時59分頃にでも次の人生を予想したり、想像してみたり、過去を省みたり……考え出したらキリがない。)

99お
「ただ……。現在をせっかく楽しめるなら、現在の人間時計が24時になる前に、やりたいことはやったら良いよね。…………さて、明日から大変だぁ…」


おっさん、鞄から懐中時計を取り出す。時計の秒針が動く音。
どこからか24時のお知らせの時報。
時計の秒針がなり続ける。

100お
(君にとって、人生って?)


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