・臨也と静雄が双子





その真実を知った時、どうしようもない感動を覚えた。それと同時にひどく危ういもので俺達は繋がっていたんだと少しだけ落胆した。目の前にある事実はそんな事はお構いなしに、俺を笑っている。いや、祝福してくれているのだろう。愛しい愛しい半身の、その唯一の繋がりがなかったという事実に。
赤の他人が家族に潜り込んでいた、なんて想像したら少しだけ恐怖を感じるけれど、俺はそうは思わない。小さな頃から積み重ねすぎて膨らんで膨らんで、抱えきれなくなった想いを前にしたらそんなことはどうでもよくなったからだ。



「い、臨也……起きてるか」

「起きてるよ、どうしたの」



扉を一枚隔てた声はやけに小さく、消え入りそうだった。中学に入って俺達には大きな違いが現れた。二卵性双生児は普通の兄弟と変わりないとは言われるけれど、あまりに俺達は違いすぎた。俺の半身、いや、シズちゃんは、成長期と言わんばかりにどんどん背が伸びていき、あっという間に父親に追い付くくらいになってしまった。



「あー、いや、なんでもねえけど……」

「下で怖いビデオでも見たの? 眠れなくなるなら見なければ良いのに」



歯切れの悪い言葉にドアに近づきながらくすくすと笑うと憤慨したような、慌てたような声が聞こえる。普段は仏頂面だけど存外に表情が豊かなシズちゃんだから、きっとわたわたと慌てているんだろう。
ドアを開けて見れば寄りかかって座っていたのか、いきなり壁がなくなった事に一瞬驚いたように肩を震わせた。そんな背中が可愛くて、後から覆うように抱き締める。というよりはのし掛かる、に近いけれど。



「…………………重い」

「いつも舞流達にはされるがままのくせに」

「るせえ」



ぷい、とそっぽを向くけど知っている。
膝を立てて触れた廊下は少しだけひやりと冷たい。そっと手を放すと、重みを失ったシズちゃんが見上げる。その目が示す意思を俺は知っている。誰よりも一番近くに居たから、君の隣にいたから。



「寒くない?」

「……別に」

「風邪ひいちゃうから、部屋入ろっか」



手を差し伸べればその手を取ってくれる。
俺達はこんなにも、依存しているのだから。










血よりも濃い
(そんな、感情)