・10巻ネタバレと捏造
・白バイの王子様葛原






2回目にその警官に会ったのは偶然だった。
彼は俺を見るなり、どういう事だと詰め寄ってきた。ちゃんと首無しライダーに伝えておけといっただろ、そう言われて、俺は漸く彼があの日の警官であることを確信した。
確かに伝えようとは試みてはみたが白バイの警察が、と言ったらセルティが目に見えて分かりやすく怯え出したのだ。何がそんなに恐ろしいかは結局分からなかったけれども。長い付き合い、という訳ではないがそれなりに過ごしてきた中で彼女のあんなリアクションは始めてみた。だからこそ静雄には理解が出来なかった。こんな普通の良い警官が、セルティの言う宇宙人も驚く恐怖の白バイ隊員だなんて、人違いではないのだろうか。



「……あの首無しライダーも交通ルールさえ守りゃいいんだがな」

「…何か、よく分かんないんすけど」



とりあえず俺の友達はこの警官に恨まれているようではなさそうだ。溜め息をつくように溢された愚痴のような言葉は以前世話になっていた少年課のおっさんを思い出す。おっさんは元気だろうか。賑やかな街の賑やかすぎるガキ共を相手をしていた彼は、随分前に定年で退職した。迷惑をかけなきゃ少しくらいヤンチャしといた方が良いんだよ、そう言われたことも思い出した。本当に無茶苦茶なおっさんだ、だけどその裏にある優しさや、思いやりを知っている。だからこそ彼と同じ警察官には一定の敬意を払おうとも思えた。



「つまり、心配してくれてんだよな」

「あ?」

「あんたみたいな警官、俺は好きだ」



俺の言葉に一度驚いたように固まった警官はその職業には似つかないくらい不敵に笑い、小さい子供にするようにぐしゃりと頭をかき混ぜられた。そしてそのまま街へとバイクを走らせ、やがて溶け込んでいった。










駆け抜けたのは、
(優しい風だった)