・BLOOD-C見て妄想した割にはまるで生きていないね
・すげえ短い






偶然だった。虫一匹も殺すことを躊躇うような、ビビりでチキンな彼が、その名前に見合った真っ赤な鮮血を浴びて微笑んでいた。目を奪われた。酸化して黒く濁る血とは対照的に、鮮やかなままの彼に、俺が抱いたのは、畏怖でも何でもなく。





「椿くん、犬だよ」



子犬を見つけて椿くんにも見せようとすれば、犬は驚いて逃げてしまう。例えば相手が人間でこの構図なら逆な気がするないのに、動物だとこうも勝手が違うのか。人間もカテゴリは動物だけど。椿くんをチラッと見れば、少しだけ寂しそうにしていた。伸ばしたてはその毛並みに触れることはなく、行き場を失ってさ迷う。まるで、あの日の俺達みたいだ。



「きっと、分かってるんです」

「……」



俺の事、彼らはきっと、鋭いから。
諦めたように笑う椿くんに強烈なデジャブを感じる。あの日、泣いてるみたいに笑った椿くん。たくさんの命を奪ったと嘆いた彼は痛々しいくらいに儚くて、触れれば消えてしまう初雪のようだった。手を伸ばそうとしても、その手は宙を掴むだけで、触れることはできなかった。

物影から怯えるように此方を伺う犬は椿くんみたいだなぁ、と思えば無性に笑えてくる。ねぇねぇ、椿くん、君は自分を自分で殺し続けているみたいだけどさ、その役、俺が引き受けてあげるよ。だって俺は、君の事をあの日からずっと。











抱いたのは、
(淡い恋心)