・もし14話のデレバニちゃんが進行してヤンデレへと進化したら







アレは盲信に近いなぁ、ぼんやりとだったけれどそれが一番しっくりきた。
そりゃあコンビを組んでいるんだから仲が良いに越したことはないし、そこに不満も不備もない。復讐に闘志を燃やしていた尖ったナイフのような青年は、一連の事件を経て憑き物が落ちたように見る影もない。まるで昔に楓が欲しいとねだったおままごとに使う玩具の包丁のようだ。丸くて、柔らかい。
それはバニーにとっても俺にとっても良い方向に進んでいるはずなのに、どうしてだか漠然とした不安が過る。過大評価、それが一番しっくりくる。彼奴はきっと、他人を信じる事をしなかったからだろう、信じる方向性が少しおかしい。成人をとうに過ぎては居るけれど、その様子は鳥の雛に対する刷り込みを連想した。



「何言ってるんですか虎徹さん」

「そのままの意味だ。お前最近おかしいぞ?」



きっと、お前が見てるのは"俺"じゃない。
何となく違和感のようなむず痒い何かを感じていた。それはきっと、バニーは俺と"彼奴の理想の相棒"……これを俺に重ねて見ている。だから誤解や齟齬が生じるんじゃないだろうか。



「……そんなこと、ないです」

「いやまぁ若いうちにはよくある事だから別に」

「違います! …………僕は虎徹さんを信じてるんです、勿論虎徹さんも僕を信じてくれている、それはバディとして最高の状態であって、つまり僕達は最高のバディじゃないですか? そうですよね?」

「いやだから、」

「信じてくれるって言いましたよね? 信じろって言いましたよね? 虎徹さん、ねぇ、虎徹さんは僕に貴方を信じろって言いましたよね?」

「それは、言ったけど……」



違うだろう、とは言い切れなかったのは、急に怒鳴られた事と捲し立てられた事に呆気に取られたからか、バニーの目が深く深く暗かったからか、どっちでもあったしどちらでもなかった。
ゆるゆると腰に回された手に、どうしようもない後悔のような、諦めのような気持ちを抱いてしまう。結局こいつを完全に拒めないという理由を盾に俺だって、こいつを縛り付けてるから。



「虎徹さん、僕は貴方を、信じて……いや、愛しているんです」



あぁごめん、俺が悪かったよ。俺がお前をそんな風にしちまった。お前が飽きるまで幾らでも付き合うから、そんなに泣きそうな顔するなよ。













遭思相愛
(俺だって、)