まだ初夏だと言うのに最高気温は真夏顔負けでうんざりする。練習で吐くやつとか毎年出るんだよな、あれは軽くトラウマになる。そういや梅雨は明けたんだろうか。並んでアイツをかじる相手に聞いても知らないと一刀両断されてしまいそうだから聞かないけど。時々、隣に居る人がどうして俺の隣に居るのかが分からなくなる。本当の事なんてそれは本人にしか分からないからいつも色んなものに隠れてしまう。



「……どうしてだろうなぁ」

「ん?」



ジリジリと太陽が暑い、このまま溶けてなくなりたい。例えば俺がアイスなら、達海さんに食べられて、溶けて、なくなれるのに実際の俺はアイスどころか木の棒にさえもなれやしないなんて。暑さで頭沸いてんのかなぁ、どうしようもない。
信じるとか信じないとかじゃなくて、時々無性に虚しくなる。隣に居るのに遠くて、同情でも同調でも一瞬に居てほしいのに、埋まらない距離が切ないなんて。



「あ」

「は? ………――っ!」



べろり、と達海さんが手を舐める。それで初めて手の中のアイスが溶けてる事に気付いた。あ、こっちも美味しいじゃん、とか言われてるけど、ちょっとマジで意味わかんない、さっき考えていた事が事実になったみたいとか考えてる自分が、終わってる。
あぁそうだ、手を伸ばせば触れられるのに、それをしなかったのは紛れもなく俺だったんだ。距離を埋めるも何も、距離を広げていたのは、俺だったんだ。
あーあ、本当にどうしようもない。口に含んだアイスはやけに甘くて、脳みそがぐらぐらと揺らいだような気がした。












心まで溶けちゃいそう
(最初からだったけど)