・スタドラ20話ネタバレ
・ヘッド臨也とソラ静雄とカタシロ門田






生まれてきてから全ての事が親に決められた俺が静雄と会ったのも親が敷いたレールの上だった。全てを決められていたが、俺はそれを絶望視することはなかったし、それに悲観することもなかった。
臨也と出会ってから、俺は少しずつ自分の置かれた狭い空間というものを理解し、自由に憧れを抱き始めた。自由気ままに生きる彼が羨ましいと、思うようになっていった。それは俺だけじゃなくて、静雄も同じだったんだろう。



「門田は俺に良くしてくれたけど、それは弟としてだろ?」

「違う」

「嘘だ…………嘘、だ」



受け継がれたシルシの力の所為で俺には全てが視えていた。目を背けたくなるような二人のこの現状も何もかも全てが視えてしまって。見たくない、見たくないともがいているうちに左目は使い物にならなくなってしまった。
人の気持ちなんて移ろいゆくものだけれど、それ以上に固く強いものでもあると知っていたから、俺にはどうする事も出来なかった。
俯く静雄にポケットからいつも身に付けて居た懐中時計を取り出し、渡す。この気持ちと決別する為に、それでもさよならと告げられない弱い俺を静雄は許してくれるだろうか。



「たまに思うんだ。俺たち三人、もっといい友達であれたかもしれないって」

「…………っ!」



懐中時計を開けた途端に歪む静雄の顔が見たくなくて、静雄から逃げるように部屋を出た。

臨也も静雄も何も変わっていない、臨也は巨大な力という存在に、静雄は臨也という存在にお互いに囚われただけであって、一番最低なのは、こうなるとわかっていたのに何も出来なかった無力な俺なのかもしれない。










いつか見た空
(もう、戻れない)