・懲りずにまどまぎパロ
・7話ネタバレ
・契約厨臨也と青デリック(バイオリニスト日々也)










「騙してたんだな」

「どうして? 聞かれなかったから答えなかっただけじゃないか」

「……っ!」

「俺は君たちがより戦いやすいようにしてあげただけなのに、わけがわからないよ」



溜息をつきながらまるで悪いのは俺だと言いたげに臨也は言った。どうしてもっと早く気付かなかったんだろうか、こいつには俺たちの常識なんてこれっぽっちも通用しないのは薄々分かっていたのに。
でもどこかで俺はそんな事になるわけないとありもしない自信があったからだろうか。臨也が常識はずれな存在だからって俺達までを同じにされても困るというのに。
確かにそういった事は一切聞かなかった俺が悪いと言われた、だからってこんな事を黙っていたこいつにも非があるんじゃないだろうか。サイケも、……………津軽も、同じだ。先輩は、知らずに闘っていたんだろうか。



「……君が戦わないのなら」

「ふざけんな! 静雄にまで手を出すつもりかよ! こんな!…………こんなっ」



後悔なんてしないってちゃんと決めたのに、どうして、こんな事になるだなんて、思いもしなかったんだ。今考えれば甘い考えだったと思う、でも俺はこの対価を払ってでもあいつに、日々也に奇跡を起こしたかった。それだけは今も後悔はしていないけれどこれはあんまりじゃないか。人間じゃない、空っぽにされるだなんて。こんな俺じゃあもう普通の生活なんて出来ない。抱きしめることも、抱きしめてもらうことも、キスをすることだってきっと出来るわけがないんだ。だって俺は、もう人間じゃないから。



「君は本当に何も分かってないんだね」

「…………なにが、だよ」

「こうしておけば眼球が抉れても心臓が砕かれても死ぬことはないんだよ? 魔法の力で細胞なんていくらでも再生することが出来るのに」



ああ、こいつは本当に、純粋に知らないんだ。俺達人間の中にある常識や、倫理、そして感情を何も知らないんだ。だからこんなに淡々と、事実だけを吐けるんだろう。
奇跡の代償がこんなに重たいものだなんて、先輩を見て分かった気になっていたんだろうか、俺は本当にバカだ。
俯くままの俺に臨也は少しつまらなそうな顔をした後、机の上に乱雑に転がされた『俺の本体』を手に取って悪戯を思いついた子供のように笑いかける。



「だからね、逆を言えばデリック」

「ーーぐ、ああああああああっ! て、め………っ、な、なに、し……」

「こっちを弄ると痛みも感じるし」

「……?! ひぅ、ひゃあ……っ」

「快感だって得られるんだよ」



その気になれば感覚を遮断する事も出来るんだよ、試してみる? と笑いながら覆いかぶさってくるこいつが本当は悪魔なんじゃないかと思いながら、俺は迫り来る快感に目を閉じて耐えることしか出来なかった。











今更、後悔なんて
(無意味だって知ってる)