・あけおめありー!






「ヒメハジメ?」



日本の伝統だから、と用意された白とピンクの振袖を着せられた。そもそも振袖は女性が着るものなんじゃないのかとか、色々とツッコミたいことはあったが、それが兄であったりそれのオリジナルであればぶん殴れるが、邪気のない笑顔で言われたらそういう訳にもいかない。しかたなく着てみたら聞いたことのない言葉が出てきた。首を傾げると、津軽は得意そうに笑う。



「デリ、姫はじめ、知らないの? じゃ、津軽が教えてあげるね!」



キラキラ、と笑う津軽は生き生きとしている。元来の性格もあって普段は俺が津軽の世話をすることが多いから津軽が俺に何かを教えるということが少ないからだろう。そのまま津軽は俺の着物に手を入れ……手を、入れ?


「振袖似合う、デリ、かわいい」

「ちょ、なっ、何してんだお前!!」

「? 姫はじめ、でしょ?」



騙された。
津軽はそのままヘッドフォンをはずして耳を舐めてくる。耳はダメだ、敏感だから普段はヘッドフォンで覆っているのに、それをはずされたら。



「やっ、みみは、だ、め……」

「デリは本当に耳が弱いね、大丈夫、気持ちよくしてあげるから」

「ふぁ………あ……」

「ねぇデリ、今年も来年も、その先もずーっと一緒だよ?」



ふわり、と笑う津軽に今年はまだ始まったばかりだとか、来年の事を言ったら鬼が笑うぞとか、思うことはたくさんあるけど、不思議と不快感はまるでなくて、案外俺もこの生活が悪くないと思ってるんだな、と握っていた拳の力を抜いて津軽の首に回した。











初夢は君の腕の中
(今年も来年もずっと)