・アニデュラ一周年おめでとう!
・アニメロショックと結婚記念日






ブラインドから差し込む光が眩しい。
この街は夜も賑やかだから、ある意味早朝が一番静かなんじゃないだろうか。それでも何台か通り過ぎる車を眺めながらそんなどうでも良いことを考えていた。
この街はたくさんの人間がいるから好きだ。でも育ったあの街も、俺は結構気にいってはいたのだ。素性が割れて仕事がしにくかっただけで。

ベッドに戻り、眠るシズちゃんの髪を撫でる。何度も染色してるのに思ったよりも痛んでいない金糸は、するすると指の間を通っていく。相手を睨み付ける意志の強い眼は閉じられて、低く罵声を吐く唇からは微かな呼吸音が聞こえる。こんなシズちゃん、俺しか知らないし、誰にも教えるつもりはない。



「シズちゃん起きてよ、起きてー」

「んぅ……あと、ごふん……」



さっきからこんなやり取りを何回も繰り返した。一応身体を揺すってみても起きる気配はない。むしろ揺すられる事で漏れる籠った声が無性にエロい。
起こしてくれといったのはシズちゃんだし、俺はちゃーんと時間通りに起こした。しかもスヌーズ機能つきで。



「幸せそうに寝ちゃってさあ……」

「……のみ、むし…………」

「どんな夢見てんだか」



俺としては不本意な呼び名を呟くシズちゃんの顔は緩んでいて、幸せそうに笑っている。本当に素直じゃないよねシズちゃんって。まぁ昨日無理させたのは俺だし、多少の責任を感じなくもないけど。



「………」

「そうだねシズちゃん、古くから姫の目覚めは王子様のキスでって決まってるもんね! 俺は何回も起こした。でもシズちゃんが起きないってことはつまりそれは呪いにかけられてしまったんだよね大丈夫だよ俺が今呪いをといてあげるから!」



シズちゃんさ、顔が隠れてるからってバレてないと思う? 耳まで真っ赤だよ? まぁ可愛いシズちゃんが目覚めのキスをご所望なら俺はいくらでもしてあげるけど、ね。

姫が目覚めるまで、あと。










在る日常
(二人の日常)