▼鶴切

彼の幻影をみる日は必ず、焼ける様に古傷が痛む。もう完治して、うっすらと痕が残るくらいだと言うのに、今回は違った。あの時とは違う、優しい眼をした彼の幻影に、古傷と共に痛む何かを感じながら逃げるように目の前の酒に手を伸ばした。