それはまるで戯曲のような
衝突-2/4

引っ越しは賛成だった。

友達がいない私に、親類である彼が来てくれたら話し相手になってくれるだろうと思っていた。
外部とつながることを嫌がる母でも、彼なら大丈夫と言ってくれると思っていた。

そんな淡い思いは、すぐに砕かれてしまったけれど。

結局のところ、私は母がノーと言えば何もできなくなってしまう程度の人間なのである。
……ただ、その判断は正解だったかもしれない。

授業以外はできるだけ外出しないようにしているからか、最近、母の機嫌がいい。

まぁ、学校の時間以外は、基本的にあってないようなものなので、今更気にすることでもない。

彼も私の家の近所に引っ越してきたものの、特に音沙汰なし。
どうやらこちらに干渉するつもりはないらしい。




ホームルーム中に、窓の外を見ながら物思いに耽る私を、先生は何も言わない。
気づいていないのか、見てみぬふりをしているのか。

そういえば、親類である彼がこの学校に転校してきたと、風の噂で聞いた。
だが、学年が違うため、会うことはない。

彼が引っ越してきてから、半年近く経っているにも関わらず、未だに会ったことがないのだ。
そしてこれからも会うことはないのかもしれない。

「ねぇ、聞いた? 2年にまた転校生が来たんだって!」
「あー聞いた聞いた! 結構イケメンらしいね〜!」

私の席の前に座っている女生徒たちが小話をする。
1年である女生徒たちが、ほとんど無関係である2年生たちの噂をするのは、変化に敏感な田舎ゆえだろうか。
いずれにせよ、直行直帰の私には、彼らと接触することはないだろう。

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