奥から聞こえる少女の声。
奇怪の原因だろうか
それとも――。
『あなたは、この館の主かしら』
「えぇ……一応」
ファインダーに目配せをして、カンテラを受けとる。
『そう。なら少し話を伺いたいのだけど、お時間よろしくて?』
一歩、二歩、ゆっくりと近づいて行くと、少女は気配に気付いたのか、勢いよく後退る。――暗闇と一緒に。
「来ないで。近づかなくとも話は出来るでしょう」
『………はぁ、わかったわよ。歩きっぱなしで疲れたのだけど、落ち着いて話せる場所はないかしら。』
「客間へ案内します。こちらへどうぞ。」
暗闇は動き出し、うっすらだが廊下が続いていくのがわかる。
ファインダーが先頭になって、罠の不安はあるがついていくことにした。