『やだ、ごった返してるじゃない』
ガヤガヤと騒がしい食堂へきたカノンは、空いている席がないか練り歩いた
「あ、カノン!こっちこっち!」
声のする方を見ればリナリーがこちらに手招きしている
隣の席が空いているのは、用意してくれたからだろう
『…コムイ呼んだの、アンタでしょ』
「だって、先に行くねって言っても聞こえてないし、いつまで経っても来ないんだもの」
『だからってあの変態を遣わないで頂戴…』
「ふふ、それよりカノン、ご飯注文しておいでよ」
いつもこの笑顔でかわされる。反省するつもりはないんらしい。
小さく溜め息をつき、カウンターへ向かった
「ハイハーイ!注文は…ってあら?カノン!?ヤダぁ!久しぶりじゃなーい!」
カウンターから顔を出したのは料理長のジェリー
『久しぶり、ジェリー。相変わらす元気ねぇ』
「料理をする人間が風邪なんか引いたら大変じゃないのよー」
『まぁねぇ。あ、私今日のご飯軽い物がいいわ。サンドイッチかな、具は何でもいい』
「じゃあ久しぶりの再会ということも含めてちょっと奮発しちゃうわね!!はいこれ!!」
一度厨房に引っ込んだと思えばすぐに指定されたモノとティラミスをカノンに渡した
『はやっ…わぁいティラミスだ!!ジェリーありがとう!』
今日、昔馴染みの人間と沢山話したからか、ほんの一瞬だけ彼女は昔の笑顔を取り戻した