ウィークリーガール
久しぶりまして-1/8

崖の上にそびえ立つ黒い巨塔。
崖の下で座り込む、琥珀色の髪の少女はそれを眺め

「はぁ…バカじゃない、わざわざこんなとこに建てて。バカよバカ」


お得意の口癖と、毒舌を吐いた。


「どこに建てたって、湧くものは湧くのに。それより入口どこかしら…ちょっとコメット、もう一回探してきて頂戴よ」


後頭部にいる小さな相棒に話し掛けるが、相棒はだんまりを決め込む。
なぜなら、先程まで1時間近く崖の周りをぐるぐる回って入口を探していたからだ

もう疲れた。と、言わんばかりにしがみついて離れない。
羽もだらりと垂れている。

「…仕方ないわね。登ればいいんでしょ登れば。上に行けば流石にあるわよね、うん。」

ちらりと見やるは客人を招き入れるための水門。今は何故か固く閉じられている

よいしょ、と少女は立ち上がれば、ゆらゆらと船は揺れ、少しよろけた。


「…っと。危ない危ない。
 折角の船、調整しながらやんないとね」



手を掲げ、腕輪を見つめる。

腕輪には星を象った宝石、両隣には白と黒の小さな丸い水晶がついており、日に照らされキラキラと輝いた。
相変わらず綺麗だなんて思い、笑みがこぼれる。



そして一呼吸おき、

「イノセンス―――発動。」

そう唱えた。

すると、呼応するようにシャランと音を奏で、腕輪は光りだす。




「"水星(マーキュリー)"!」




その瞬間――



大きな水柱が上がった。

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