車の中でかくれてキスをしよう

「名無子ー!!」
ソファーに寝そべって、雑誌を読んでいた。
今日は私の愛しい彼の家へ、遊びに来ている。



雑誌に集中していた私を見て、きっと構ってほしくなったんだろう。
上から重なるように抱き着いてきて、離れない。



寝返ろうと、もぞもぞ動く。
私が寝返ることができるように、スペースを開けてくれた。


『なぁに?大きなバンビーノ』


「ヴェーっ、ひどい、俺のこと子供扱いしてー!」



ぷぅ、と頬膨らませるとこもまた愛らしい。
重症かもしれないと、苦笑した。



『ごめんなさい、フェリシアーノ。どうしたの?』

「あ、えっとね、俺の車でドライブしない?」


そういえば、付き合って長く経つし、それなりの経験もしたけど、ドライブデートはしたことない。
そもそも、フェリの車には乗ったことがない。


『まぁ、楽しそうね』

「楽しいよ、だって名無子と一緒だもん」


ねぇ行こうよー。と、せがむものだから、ドライブすることに決めた。



「いらっしゃい。」

そう言いながらドアを開けて、エスコートするフェリ。
いつも子供のように甘える彼が、少し大人っぽく感じた。

『えぇ、お邪魔します』

「ヴェ、邪魔じゃないよ、必要なんだよ〜」

『ふふ、相変わらず、面白い事言うわね』

「えへへー…そうかな?」

私が座ったのを見て、フェリも運転席へ座る。



ただの決まり文句さえ、否定してくれる貴方。


『ねぇ、フェリ。こっちを向いて。』


「ん?」


『そんな貴方が、大好きよ』



触れるだけのキスを、一つ送ってあげた。



<<車の中でかくれてキスをしよう>>



(ヴェー、どうしたの?名無子)
(貴方が愛しいから、幸せを与えてくれるから、お礼)
(ほんと!?じゃあ、もっとしようよ〜)
(ドライブはいいの?)
(それより名無子のキスが大事!)


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