Jealousy






近くの机を適当に引っ付けて座ると、色とりどりの美味そうな弁当を白石と忍足は広げた。なんだかコンビニのパンを出すのが躊躇われる。
こーいうところに家柄が出るな、なんて思いながら何でもない顔してコンビニのパンを出すと忍足がそれをジッと見つめて呟いた。





「奈月はいっつもパンとかおにぎりとか食べとるよな」


「ああ、まあな」


「弁当とか、作らんの?」


「料理なんて出来そうな顔に見えるか」





そう言うと、忍足は黙り込んで箸をくわえた。なにも言われないというのも若干ショックだが。





「…忍足は自分で作ってんのか」


「お、おん。たまに親が作れんときだけ」


「ふーん」





元々俺は口数が多い方ではないし、忍足も緊張しているのかあまり会話が続かない。教室は騒がしいが、俺たちの周りは時が止まったように静かだ。
痺れを切らしたのか、最早空気と化していた白石が口を開いた。





「純亜くん、なんで購買で買わんの?」





なんてことない話題だったが、終始誰も喋らないよりずっとマシだっただろう。





「購買嫌いなんだ。並ぶし、人多いし」


「あー、純亜くんって人混みとか嫌いそうやんな」


「なんか酔うんだよ、あの感じ。それに俺、購買のコーヒー飲めないし」


「あれ、コーヒーっちゅーかカフェオレやけど」


「にげぇじゃん」


「純亜くんって可愛いなぁ」


「し、白石っ!」


「そりゃあ、どーも」





別に白石はそんな気で言ってるんじゃないんだから、そんなに慌てなくていいのに…。
若干白石を睨んだように見えた忍足にそんなことを思った。白石も気付いたのか「すまんすまん」と苦笑いしていた。






Jealousy
(恋する乙女って大変)


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