borderline






「好きや!」





俺はなんてことない只の男子中学生の筈だったのに…。なんでこうなったんだろ。





「付き合うてくれ、とは言わん。せやけど、その…」


「じゃあ忍足は俺に何を求めてるわけ?」


「え、」


「付き合う気はないのに、何で告白してきたんだ、って」





目の前のこいつとはそんなに親しい仲ではないし、同性においての恋愛感情は俺には分からないが、相手を好きだと思い告白するのだから異性との恋愛と求めていることは同じだろう。

結果、答えがYESなら付き合いNOなら諦める。だが交際は求めていないということは、もし答えがYESであった場合こいつは俺をどうしたいんだ。(まあ万一にもそれはないが)
それとも端から捨て戦か。ならば何故告白してきた。





「俺にはよく理解出来ねぇ」


「俺は……、」





口ごもる金髪の彼は、視線を下へと向けて拳を握り締めた。ああ、別に意地悪がしたいわけじゃない。普通に無理だと断ればいいのだ。彼もいろいろと悩み抜いた末の告白だろうに。

そう思いながらも彼を困らせるのは、相手がお人好しな忍足謙也だからだろうか。





「俺は…、俺は奈月に無理とかさせるつもりはない」


「ああ」


「奈月が俺のこと、そんな目で見るわけないのも分かっとるんや」


「おう」


「せやけど、俺やっぱり見とるだけって辛くて…、もうしかしたら、なんてそんなことあるわけないのに…っ」


「お…、おい」





顔をあげないままそう言った忍足の声が段々と震えてきて、思わず制止の声をかけてしまった。女子か、と言いたくなるが不思議とそんな忍足を気持ち悪いとは思わなかった。

とりあえず忍足との距離を詰め、肩に手をおいて「泣くなよ」と言うと、忍足は震えた声で「泣いてない」と言った。






borderline
(それは越えてはいけない境界線)




title by たとえば僕が


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