飼い主と非常食 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

起きたらなんと日光が窓からこんにちはしてました。朝です。まあ夜明け前に起きるとかほぼないからつまりただの日常だけど。

いや待て、ソファに非日常が!やばい、すっかり忘れてた。昨日誘拐して、殴って眠らせたんだった。物騒に表現してみたのはわざとです。
それにしても、警戒してたわりには普通に寝てやがるな。ふむ。まだまだ修行が足りんな。なんの修行やねんという脳内自己ツッコミは今日も健在です。

「……」起こすか起こすまいか悩みどころだな。

私は携帯をパカッと開くと今日が土曜日で休日であることを確認した。…そうだよガラケーだよ!スマホが羨ましいです。いやむしろ妬ましいね。私も早くこう、指でシュバッシュバッとスタイリッシュに携帯弄りたい。だがしかしそんな金はないんだなこれが。

「う…」

あ、起きた。さて気絶させられてたちびっこは一体どんなリアクションをとるんですかねー。今思ったけどこれで警戒心跳ね上がってたら余計めんどくさいよね。後先考えないってこういうことですね分かります。分かるけど直せないのが人生ってやつだよね!人じゃないけど。

「あれ…」

ここどこだ、みたいな感じですか。その勢いでついでに眠りにつく直前の出来事も都合良く忘れてはくれませんかね。お姉さん悪気はなかったのよ。ちびに安眠をプレゼントしようとしただけなの。
あれ、ちびっこの意識が寝起きから覚醒する様子がない。はっ。これはまさか…!

「あー…」

低血圧というやつですな、うん。なんか上手いこと誤魔化せそうな気がしてきた。よし、とりあえずコンビニで食料でも調達してくるかな。

伝家の宝刀!その名も餌付け!

***

というわけで、お食事タイム。私は食べてないけど。いや、流石にね、うん。折角の非常食に逃げられたら何の意味もない。
その非常食は、私が与えたメロンパンを無言であむあむしている。あむあむっていう擬音が一番的確な気がするのだ、個人的に。

あ、そういえば寝るときのことは誤魔化せたような。私も今まで忘れてたし。第一、後ろから殴ったしね。あの部屋、二人しかいなかったけど。
さらに誤魔化すために呼び掛ける。

「ねえ」

律儀に顔をあげるちびっこ。グーグル先生によると地下街で暮らしていたそうだが、その割りにはそこそこ良い子だ。根が優しいんじゃないかな、多分。

「話があるの」

やれやれ。

「リヴァイ。ここはあなたがいたところの、未来の世界なんだ」

無意味な嘘をつくとしようか。