「ね、リヴァイ、」
「あ!?」
「あんたはっ、強くなりたいって言った、よ、ね」
「そ、だけ、どっ!」
「それは、誰かを殺したいか、ら?殺したくない、から?」
「…はっ…はっ……?」
「どちらにせよ、殺す、方法を、知らなきゃいけな、いっ。殺し方を知らなきゃ、殺さない倒し方も分からない」
「……はっ……」
「だから、ちび。殺す気で、きな」
これを、戦闘中に言う私は。
卑怯だろうか。
***
「あー疲れたー!」
「疲れたーじゃねえよ!」
本気でやりやがって…とかぶつぶつ呟くちびすけ。本気じゃねえもーん!
まるで「お前…強いな…お前もな…」っていう喧嘩からの友情が芽生える青春ドラマみたいに砂浜に寝転んでいる私とちび。いい感じに夕日も沈みそうだし、環境はさいこーだね。
「ま、私とちびにはもともと友情芽生えてるけどね!」
「………は?」
「溜めがマジっぽくて傷ついた」
そこは冗談でも同意して欲しかった。いや冗談じゃ嫌なんだけど。…うーん、ちびがツンデレであるということにしておこう。もう、素直じゃないんだからぁ、はーと。みたいな。我ながらきめえ。
「あ」
「うん?」
ちびが唐突に呟くと、立ち上がった。なに?私の頭ん中でも覗いて逃げ出したくなった?他人をほんの一部で否定しちゃいかんぜよーっと。
「どした?」
「いや…」
立ち上がって見ると、丁度夕日が沈むところだった。
毎日毎日、壁の向こうへ沈んでいく夕日を見るのはどんな気がするのだろうか。私達のこの世界は、見えない檻はあれども目に見えるような縛りはない。それでさえ息苦しいのだ。鳥籠の中で野生を忘れて平穏に生きる鳥は、一体どんな気持ちなのだろうか。
もしかしたら、野生を、外を知らなければなにも感じなかったのではないか?
「…あかい」
リヴァイの言葉で、我に返った。そうだ。こいつは結局、外を求めるんだ。今、ここにいることがそれに直接影響しているかは分からない。だけど、いいじゃないか。そんなのどうだって。だって、そんなこと関係なしに、この世界の景色を見、私達は美しいと感じるのだ。
夕日は辺りを真っ赤に染め上げ、光をもたらしていく。
化け物にも。人にも。きっと、巨人にも平等に。
ふと思う。平等というのは、もっとも不公平なのかもしれない、と。
***
あの日から。私は私なりの答えを出した。決してリヴァイを死なせはしない。情が移ってしまったのなら、守ればいい。遠ざけるのは、弱い奴のすることだ。私は、強くあろう。こいつが人類最強になるのであれば、それよりも強くあろう。私は人外だ。人類最強だろうが、巨人というデカブツだろうが負けはしない。自分の食欲などに負けはしない。だけど。
こいつはいつまでここにいるんだ?こいつが帰ったら私はどうすればいい?
どうやら私は、思ったよりもイゾンしているらしかった。
ああ、怖い。怖いよ。とても。