飼い主と非常食 | ナノ
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「なに、やってんの」
「…なにやってんのはお前だろ」

いつからみてた?最初から?なぜにげない?だって、人間を食べるなんて、そんな、巨人みたいなことしてたんだよ?

「うん、そうかも」

こいつは人間だ。敵であり、補食対象。見られたなら殺せばいい。いくら将来人類最強になるような奴でも、今はただの餓鬼だ。赫子(かぐね)さえ、武器さえ出してしまえば一瞬で殺せる。

ころして、たべてしまおう。だって今は非常時なんだから。

「ごめんね、リヴァイ」

あれ、なんで私謝ってんだろう。なんで。こんなに、

「ぐっ…」

一撃で、しとめられなかった。もういっかい。もういっかい。避けるなよ。しんでくれ。困るんだ。私、害虫だから。もういっかい。あ、肉が逃げた。追わないと。追いかけよう。左右の足を交互に動かして。路地だから、曲がってて。見失いそう。足音に耳を澄ませて。あれ、前が見えない。血。目に垂れてきてた。拭かないと。腕を持ち上げて。目もとをぬぐう。非常食が逃げてしまう。追いかける。目から血が。目の上けがしたっけ。止まらない。けが治らないよ。なんで。私は化け物なのに。喰種なのに。追いかけないと。足を動かさないと。ころさないと。ころさないと。殺さないと。殺さないと。殺さないと。殺さないと。道を曲がる。人間の声がする。
…人間の声?

「やばっ」

慌ててその場で足にブレーキを掛ける。もう少しで人通りの多い道に出るところだった。危ない危ない。流石に、こんな血だらけじゃ不味いだろ。赫子も出しっぱなしだし。目も赤いままだし。

うん。とりあえず、家に、帰ろう。

***

アパートに近づいてきたときに気づいた。ちびは家の場所を知ってるわけで。つまり、ちびが通報しちゃってたらおしまい。なんでさっきころせなかったんだろう。なんで、あんなに。

まあいいや。とりあえず帰ろう。もう、どうでもいいかな。あーあ、さよなら。