飼い主と非常食 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
あれ。

「おいちびー。テレビのリモコン知らない?」

どこやったっけなー。結構見当たらなくなるよね、あれ。私だけでしょうか。見たい番組が始まる時間が迫っていたのであちこちひっくり返して探し回る。
そういえば、ちびの返事がないな。さっき話しかけたのに。不審に思って手を休め顔を上げると、ちびはえらく不機嫌な顔をして呟いた。

「きたねえ」

そう言われて部屋を見回す。確かに散らかってはいるが、眉間にしわを寄せるほどかね。ゴミ屋敷でもあるまいし。
たまたま目に入った時計が、番組が始まる時間をさしていた。やばいやばい。慌ててもう一度部屋を見渡すが、そう簡単に見つかるはずもなく。
あ。テレビのスイッチで電源つければいいのか。

私がリモコン探しを一旦中断しソファに座ってテレビを見始めると、ちびがいきなり片付けをしだした。何やってんのお前。とくに口出しをせず放置していたが、ソファの周りをちろちろ動かれると地味に気が散る。大人しくしてろと言おうと口を開くと、何か飛んできた。反射で受けとる。

「リモコン、あった」
「…ありがと」

文句が言いづらくなったじゃないか。

***

その内ちろちろしてるちびなんか気にならなくなり、番組が終わって気がついたときには部屋がやたらきれいになっていた。どうやら私がテレビに熱中している間に、片付けだけでなく箒がけや雑巾がけにまで清掃の手が伸びていたらしい。私がずっと座っていたソファ以外塵一つない状態だ。うわー、きれいすぎて逆に居心地悪い。
ソファで唖然としていると、ちびがやってきて言った。

「じゃまだ、どけ」

偉そうに言うんじゃねえよ、と思ったは思ったけどリヴァイの謎の迫力に負けて声が出なかった。なんだあいつ、怖ええ。
黙々とソファを掃除しているちび。どうやら汚いところを見ると清掃の鬼と化するらしい。
でも、私がテレビを見終わるまでソファの掃除を待っていてくれたということは一応理解してる。