飼い主と非常食 | ナノ
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くっそ。こいつ本当に人間かよ。ちびの蹴りをいなしながら愚痴る。こっちはしばらくなんも食べてないってのにちびのくせに。だいたい喧嘩なんか買わなきゃ良かった。やれやれ、一回りくらい年下相手に大人気ないぜ。あー、でもそういえば兵長と呼ばれるようになるこいつは私より年上か。まあ気にしなくていいよねどっちにしろちびだし!つーか何お前何気に強いんだけど!なんとなくムカつく!

「こんの、チビのくせ、にっ…!」
「あぁ!?」

あぁ!?じゃねえよ全くもう。なんでガキのくせに拳がこんなに重いんだよ。もっとガキらしくしなさいよ。ああもう。しんどー。めんどくさー。お腹空いたー。



あー…。



私はリヴァイの蹴りを受け止めるとそのまま足をつかんで投げ飛ばした。やばい。だって。
美味しそうだし。

「はい!今日は終了!先帰ってな!」

そう言い逃げるとちびから離れようと走り出した。

***

息が切れるくらい走って、無意識でたどり着いた場所は自分の狩り場。見渡してみても血液一滴落ちていない。良かった。意識ない内に殺したんだと思った。一回、餓えで思考吹っ飛んで無意識に食べて結局目撃者まで食べるはめになったことがあったから。
今回はそこまでお腹減ってたわけでもないんだけど。でもあのままだと目が赤くなりそうだったし。

…まだ赤くなってないよね?

ちびに見られてたらどうしよー。殺さないと。あ、でもあいつ喰種なんて知らないかー。人を食う巨人がいる世界なんかに住んでるあいつが、自分が人喰い鬼に育てられてるなんて知ったらどうなるのかなあ。

***

しばらくして。30代くらいの男の右腕をもぎ取り、食べながらふと思った。別に知られたのかもしれないんだったらあの場でちびを食べてしまえば良かったんだ。どうせその為に拾ったんだし。

…ちびの相手していたのは家の前だ。そんなところで食べられない。そういう理由で殺せなかったんだよ多分。



この期に及んで情が移ったとか言わないよな、私。