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銀さんと昔馴染み 2

あれから。予想以上に重い荷物と、予想以上に軽い財布を持ち帰宅した二人に少しは遠慮しろと怒るべきか迷ったが、大人の余裕というやつを発動することに無事成功した。やれやれ、鍋なんて久々に食べた。
そしてさらにその後、つまりは今、何故か銀時と二人並んで歩いていた。

「呑み行こうぜ、お前の奢りで」

だ、そうだ。ふざけるなと言った後で殴りかかりたい発言である。既に実行済みたが。死なない程度の暴力は積極的にやっていきたいと思う。

「おーい、なんか物騒なこと考えてね?」

エスパーか。そんなわけないではないかと言いながら脛を蹴っ飛ばしてやる。痛そうにうずくまったので私は満足した。やっぱり物騒じゃねえか、という言葉は残念ながら私の耳には聞こえなかったということにしておこう。

「うわ、面倒な奴らが…」

痛みから復活して歩き始めた銀時が前方を見ながら呟いた。面倒な奴らとは。視線を辿ると、ああ、簡単に予想ができてしまった。夜の黒に同化しそうなあやつらは、幕府の狗だろう。私もこいつも、関わりたくない相手だ。是非とも華麗に無視していただきたい。堂々としていた方が怪しまれないだろうと、相手のスルースキルの高さに賭けることにした。洞察力の無さとも言う。

「旦那ァ、女連れですかい」

旦那って……お前、面識あるのか。最早呆れ以外の何も感じないな。ついでに私を巻き込まないでいただきたいものなのだが。

「うっせーな。そういう時は黙って通り過ぎるもんだろーが」

理由はともかく、その通りだと思うね。無言の圧力が通じるといいのだが。

「あ、珍しくナンパ成功中でしたか。すいやせんね邪魔して」

失敬な。私はこんな脳ミソの軽そうな奴に付いて行くほど落ちぶれてはいない。

「ちげーよ!お前それわざと言ってんだろ!ただの昔馴染みだ」
「ふーん。昔馴染みねェ」

こちらをじろじろ見るでない。それにしても、この年齢で真選組幹部とはな。確か、一番隊隊長であったか。

「はじめまして。沖田総吾でさァ」

そう言って手を差し出された。なんのつもりだ、と言い掛けて握手のつもりらしいと悟った。正直そんなことはしたくはない。が、下手に断っても怪しまれる。仕方がなく手を握った。

「…どうも」
「で、昔馴染みサンとはいつからのご関係ですかい?白夜叉サン?」

どういうことだ。そして私は何故こいつに腕を捕まれているのだ。それが握手というものだからか。いやいや、握手にしては強すぎるだろう。確保でもするつもりか。ああ、するつもりなのか。認めよう。混乱している。

「なっ…」
「あ、お名前をお聞かせしてもらってもいいですかィ」

…厄介なことになった。問題は、私の資料が何か残っているのかということだな。どちらにせよこの状況で本名を明かす気は毛頭ないが。それよりも。

「寧ろ何故お前が捕まっていないんだ、白夜叉殿」
「…まあ、色々あって」

ふざけるな。