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昼過ぎ。せんせいは出掛けてしまい、俺は一人留守番をしていた。暑さにへばって、冷たい廊下に寝転がっている。段々体温で温まってくるので、そのたびにごろごろと移動。

……。

立ち上がり、なるべく自然な動作で、足音を消してしまわよう玄関へ向かう。その途中、刀の鍔に親指を掛けた。草履を履くと、戸を開け外に出る。

――三人。

なるべく家から離れるか。ちゃんと着いてきてくれるといいのだけど。相手の標的が何かによるな。俺を狙っていてくれますように。
警戒しているように見えないよう、ダラダラした感じに歩く。なんか欠伸も出てきた。
…ああ良かった。ちゃんと三人とも着いてきてくれている。家の周りに死体なんかいらない。
しばらく歩いて、人気のない森の中へ入り込んだ。もう少し家から距離を取りたいのだけど。待ってくれなさそうだなあ。

一人目。相手が近づいてきたのでそれより速い速度で懐に飛び込み柄で鳩尾を殴った。
二人目。気絶した一人目の刀を奪って気配のする方へ投げた。
三人目。ふと、俺はなんでこんなことをしているのだろうと考えた。

しまった。

考え事をしていたら返り血を浴びた。

***

仕方なく川で血を洗っていた。せんせい、まだ帰ってきてないといいけど。びしょ濡れで帰ったらなんて言われるか。
なんで、こんな変な油断したんだっけ。そうだ、なぜこんなことしてるんだとか考えたからだ。相手は多分、村人から俺を、鬼を退治してくれと雇われたとか多分そんな感じな奴らだった。そいつらを斬ることで、俺はいったいなにを守りたかったんだろう。自分の命?縄張り?それとも、他人?
なにも考えずに人を斬る俺は、あんなに温かい巣に居ていいのだろうか。
相変わらず俺は、何も分からないままだ。

血糊が大体落ちたので、顔を上げると光がふわふわとそこらじゅうを飛んでいた。蛍。初めて見た。多分。不思議と、全く綺麗に見えなかった。

***

数日して。今度はちゃんと、せんせい達と一緒に蛍を見に来た。そのとき見た蛍の光は、暗闇にやわらかく輝いていて、ちゃんときれいだった。




 

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